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弁護士ブログ

2016/06/15

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音楽評論家であり指揮者でもあった宇野功芳さんが,6月10日に惜しまれつつ亡くなられました。

 

宇野功芳さんと言えば,やはり私の記憶の中にあるのは,往年の名指揮者ハンス・クナッパーツブッシュを一貫して評価する評論を書いておられたことです。ヴィルヘルム・フルトヴェングラーびいきだった私ですが,例えばブルックナーの交響曲の指揮について,宇野さんはクナッパーツブッシュの指揮による方がスケールが大きく壮大だという趣旨のことをある書物で書かれていました。ホントかなと思って実際に聴きくらべてみたのですが,なるほどと合点もいきました。もちろんフルトヴェングラーの盤によるブルックナーも大好きですが・・・。でも少なくともブルックナーの交響曲第8番を聴く限りは宇野さんの言うとおりだと確かに思いました。

 

何となくですが,宇野さんはクナッパーツブッシュの生き様にも少なからず共感をもたれていたのではないかという気もしています。例えば,指揮者の世界では王道を歩んで来たフルトヴェングラーはその生真面目さゆえに演奏旅行中の汽車内でも絶えずその日の夜のコンサートでの演奏のことしか頭になかったとする一方で,クナッパーツブッシュはというと汽車内で仲間とポーカーゲームに興じていたなどといった面白い比較をしています。なお,宇野さんは,クナッパーツブッシュは「最も才能のない生徒」としてケルン音楽院を放逐されたりしたという逸話も紹介されておりますが,どうやらこれは誤りのようで(笑),彼は1910年にちゃんとケルン音楽院を修了しているようです。クナッパーツブッシュも後年,あれだけ高い評価を得る指揮者になるわけですから,大したものです。特にワーグナーとブルックナーの演奏,指揮には定評がありますね。ただ,練習嫌いで有名で,練習前に楽団員に「こんなことやめて,メシでも食いに行こう。」と語ったという逸話もありますが(笑)。

 

さて,宇野功芳さんは音楽評論だけでなく,実は立派な保守の論客です。思想的には私と同じ(笑)。確か2010年の9月の私のブログでもそのことを書きました。宇野さんは月刊誌「正論」の中で,「戦争直前の世界地図」というタイトルの立派な論稿を書いておられ,今の日本の現状を憂えていたのです。全く同感できる内容です。今晩はブルックナーの8番をクナッパーツブッシュの盤で聴きます。ご冥福をお祈りいたします。合掌。

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