大変良い季節になってきましたね。今頃は二十四節気の第三である「啓蟄」の時期です。冬ごもりをしていた虫たちが穴から這い出て来るような,少し暖かさが感じられる季節です。昨日も仕事で,事務所まではいつものように散歩がてら歩いて行ったのですが,顔を撫でる風も少し暖かくなってきました。今の季節は「水温む」という季語がぴったりです。
さて,前回のこのブログの標題が「あんパン(その1)」でしたから,当然今回は「あんパン(その2)」ということになります(笑)。アニメのアンパンマンに出て来るキャラクターは,主人公のアンパンマンは勿論のこと,どの登場人物もとても可愛らしく,見ていて癒やされます。ところが,経済評論家の三橋貴明さんは,もうすぐ「アンパンマン」が禁止用語になり,「アンパンパーソン」と呼ばれることになるだろうと,冗談半分で述べております。
ポリティカル・コレクトネスというのは,日本語では「政治的に正しい言葉遣い」と呼ばれ,これは要するに,政治的・社会的に公正・公平・中立的で,なおかつ差別・偏見が含まれていない言葉や用語のことで,職業・性別・文化・人種・民族・宗教・ハンディキャップ・年齢・婚姻状況などに基づく差別・偏見を防ぐ目的の表現を指します。
そういった趣旨そのものは私も理解はできるのですが,ポリティカル・コレクトネスというものが行き過ぎると,いわゆる言葉狩りが横行し,窮屈で過ごしにくくなるのではないかと危惧しております。昔は保母さんとよばれていて暖かみを感じる言葉だったのですが,今は「保育士」と呼ばなければなりません。男性もこの職業についているからだそうです。私が「オギャー」と産声を上げたときに取り上げてくれたのは間違いなく産婆さん,助産婦さんだったのですが,今は「助産師」と呼ばなければならないのです(笑)。ビジネスマンは「ビジネスパーソン」と呼ばなければならず,スチュワーデスさんは今では「キャビンアテンダント」などと呼ばれています。重要で要になる人物は昔はキーマンと呼ばれていましたが,今では「キーパーソン」と呼ぶべきだとされるのです。なぜなら,要になる人物は男性とは限らないから・・・。
さらに,私が学生時代に英語を習ったころは,英語の敬称において,男性を指す「Mr.」が未婚・既婚を問わないのに対し,女性の場合は「Miss」(未婚),「Mrs.」(既婚)と表記上の区別をしていたと思うのですが,今ではそれは女性差別だということで未婚・既婚を問わない「Ms.」と表記しなければならないのです。アメリカは移民の国,他民族国家であり,このポリティカル・コレクトネスが行き過ぎた結果,メリークリスマスは特定の宗教用語だとして,今では「ハッピー・ホリデイ」に言い換えられ,ペットというのは差別だとして,「コンパニオン・アニマル」と呼ばなければならないそうです(笑)。どう考えても行き過ぎでしょう。日本でも次第にこうなっていくのだとしたら,窮屈で仕方ありません。
ただ,三橋貴明さんがアンパンマンは禁止用語になり,これからは「アンパンパーソン」と呼ばなければならなくなると半分冗談で言っているのですが,それはウルトラマンやスーパーマンなどの固有名詞までは言い換えたりはしないというルールもあるからです。ですから,あの愛すべきアンパンマンは,これからもアンパンマンなのです(笑)。そしてカレーパンマンも,しょくぱんまんも,ばいきんまんも・・・。また三橋さんは,このポリティカル・コレクトネスというものは,差別等を排斥するということだけが目的ではなく,実は左翼勢力に政治利用されてきた,そしてこれからも政治利用される危険性があるということも指摘しておられます。気をつけなければなりません。