ちょっと間が空きましたが,前回の続きです(笑)。
素人のくせに生意気を言うようですが,前回述べましたように読売巨人軍の高橋由伸監督と名古屋グランパスの風間八宏監督に共通しているのは,やはり修正能力及び問題解決能力の欠如であると指摘せざるを得ません。実はこれは監督としては致命的なものです。
名古屋グランパスはJ1のリーグ戦では現在5連敗中であり(18チーム中の17位),連敗街道から抜け出せないのは,やはりチーム,特に監督の修正能力・問題解決能力に疑問符が付きます。風間監督の目指すサッカーは,細かくパスを繋いでボールを保持して攻撃的なスタイルを貫くというものですが,最近のグランパスのサッカーを詳細に見ていくと,この原理原則が自己目的化しているのではないかと思います。あくまでも目的は勝利することなのに。
この自己目的化してしまったかのようなグランパスのプレースタイルを,相手チームは完全に読んで対策し,ハイプレス戦術でボールを奪っては速攻でグランパスの脆弱なディフェンス陣を崩して得点しています。第5節から第7節までの3試合,グランパスはいずれも3失点ずつしています。3試合で9失点。この5連敗というのは第4節から第8節にかけてですが,この5試合で12失点に達しています。
昨年はJ2で戦ったのですが,確か失点数はJ2の全チーム中,2番目に多かったと思うのですが,やはり何らその脆弱な守備も改善されていません。狭いスペースで細かくパスを繋ぐのはよいのですが,グランパスの選手は本当にそれだけのボールキープ力があるのでしょうか。少なくとも,相手選手が接近しているのにもかかわらず,原理主義的に最終のディフェンスラインからビルドアップしていくのは止めて欲しい(笑)。恐くて見ていられないのです。しかも,グランパスのDFは,寄せが甘くて相手選手に好きなようにプレーさせてしまう傾向があるのですから・・・。
そして攻撃です。グランパスはいつもパスを繋いでゆっくりとビルドアップしていきますので,仮にペナルティーエリア付近に迫ったとしてもその時点では相手選手は当然に万全の守備体制を構築してしまっています。相手チームとしては本当に与しやすいチームだと思っているでしょうね。
最終ラインではセーフティーファーストで行きましょうよ。それに時にはサイドチェンジをして局面を打開したり,一閃,鋭い縦パスを繰り出したり,ミドルシュートも果敢に打ったり,左右からえぐってアーリークロスを上げたり,ワン・ツーのパスで相手DFを翻弄したり,時にはゴール前へロングボールを送ってパワープレーを試みたりしても良いではないですか。その方が相手チームとしては守りにくいと思いますよ。いつも最終ラインからビルドアップするだけというのでは勝てません。得点の匂いが全くしない。
名古屋グランパスを追いかけている今井雄一朗氏というフリーランスライターの記事を読みましたら,そこにはベテラン佐藤寿人選手のコメントが引用されていました。佐藤選手のコメントを要約すると次のようなものです。
とにかく勝ちたい。見栄えなんてどうでもいい。ショーをやっている訳ではないし,10本,20本とパスを繋いで支配率を上げることが目的ではないはずだ。第8節の鹿島アントラーズ戦でも,ボール支配率とシュートの本数は全く比例していない。ボール支配率はグランパスが62%で,アントラーズが38%であるにもかかわらず,シュートはグランパスが僅か4本で,アントラーズは15本くらい。得点の匂いがしていたのは相手であって,グランパスはボールを持たせてもらっていただけだ。
そうなんです。全くそのとおりです(笑)。最終ラインからのビルドアップ,細かいパスつなぎ,ボール保持が自己目的化していて本来の目的であるはずの勝利が遠い存在になっているのです。
ジャイアンツの高橋監督と同様,グランパスの風間監督も喫緊の課題として,修正そして問題解決が求められているのです。