最近は休肝日をちゃんと設けることができてはいますが,それでも週に4日ほどは晩酌等をします。「等」というのはお誘いで食事をしながら外で一献傾けることもあるからです。
さて,自宅で晩酌の時は,最近ではうちのカミさんと一緒にテレビ画面でユーチューブを楽しむことが多いのです。BS放送の番組では関心のあるものもたまにありますが,地デジで放送されている番組は本当にくだらないものが多く,ちっとも見る気がしないのです。
ユーチューブの映像を見ていると,知らぬ間に「忖度」されておすすめの番組が出てきたりします。晩酌時に私たち夫婦が見る番組は,クラシック音楽もの,その他の音楽もの,政治・経済もの,漫才もの(サンドイッチマン,ノンスタイル)などが多いのですが,最近少なくとも私のマイブームになっているのは「厳選クラシックちゃんねる」という番組です。
これは本当に素晴らしい!毎回,クラシック音楽の作曲家が取り上げられ,その生涯,代表作,エピソードなどが豊富な資料,音源,画像などを駆使して分かりやすく紹介されるのです(今後は作曲家だけでなく演奏家なども取り上げられる予定のようです)。これまで視聴してきた限りでは,クラシック音楽が好きな私にとっては大体知っている情報が多いのですが,知識の再確認にもなりますし,もちろん知らなかった情報も吸収できます。うちのカミさんなどはクラシック音楽にそれほど詳しい方ではないので,この番組は大変興味深く視聴できているようです。
実は私はこの動画製作者,ナビゲーター,といいますかユーチューバーのNaco(なこ)さんの大ファンなのです。すごい美人とまでは言えないのですが,とても好感のもてる容貌,正確で丁寧な日本語を話すことができ,滑舌もよく,表現力が豊かでとても誠実そうな女性です。こういうタイプは良いですね(笑)。
ご本人の言によりますと,やはり一つの動画を製作するのに30時間ほどをかけているそうです。確かに20分ほどの一つ一つの動画は丁寧に作られています。これまでに拝見した動画は,バッハ,ヘンデル,ハイドン,ベートーヴェン,シューベルト,ロッシーニ,メンデルスゾーン,ショパン,シューマン,ワーグナー,スメタナ,ブラームス,サン=サーンス,ブルックナー,チャイコフスキー,ドボルザーク,ドビュッシー,マーラーなどです。
それに,お薦めとして流れる曲の演奏家群については,どういう訳か割と古めで私のようなもう前期高齢者に近い年代には「大うけ」です。ヴィルヘルム・フルトヴェングラー,オイゲン・ヨッフム,カール・ベームなどが次々に出てくるのです。
ワーグナーの回ではニーベルングの指環の4部作(ラインの黄金,ワルキューレ,ジークフリート,神々の黄昏)に流れるストーリーを割と詳しく紹介してくれていますし,ブルックナーの回では専門的なこと,例えば「ブルックナー開始」,「ブルックナー休止」,「ブルックナー終止」などが紹介されており,大変参考になります。
Naco(なこ)さんにはあまり無理をせずに,この貴重な動画配信を継続していってもらいたいと思います。どうやらチャンネル登録者も飛躍的に伸びているようです。
大学生時代から就職して間がない時期にかけて,私はブルックナーの交響曲に夢中になった時期がありました。この「厳選クラシックちゃんねる」のブルックナーの回の動画を見て,またブルックナーを聴きたくなりました。最も好きなのは8番ですが,7番も素晴らしい。未完ではありますが9番も凄みがあります。ブルックナーの交響曲には病み付きにさせる何かがあるのです。もう10数年も前にドイツのある夫婦の離婚の記事を読んだことがあります。夫の方はあまり関心がないものの,妻の方はブルックナー狂といってもよいくらいのブルックナーの曲の愛好者。自宅では妻の好みで四六時中,それこそ就寝前にもブルックナーの曲を流すものですから,とうとう夫の方は嫌気がさして離婚に至ったという実話があるほどです。もちろん私はそこまでではありませんが,確かにブルックナーの交響曲にはそれほどの,そして形容しがたい魅力があると思います。