ぐっすり寝た翌朝は,ホテルでの朝食です。私はもちろん和食,ところがカミさんは洋食でした。いつも我が家では伝統的にごはんと味噌汁,納豆とアジの開きなんていう朝食ですので,カミさんとしてはたまには洋食もいいなと思ったようです。
みなさんは,司馬遼太郎の「坂の上の雲」という小説をご存知でしょうか。この松山という町そしてそこに住む人々は,郷土が生んだ秋山好古,秋山真之,正岡子規という偉人に誇りを感じていることは間違いないようです。この小説はこの3人が主人公として描かれており,私もこの「坂の上の雲」(文春文庫,全8巻)をむさぼるように読んで,その内容にいたく感動したものです。小説といっても,司馬遼太郎の事前取材の詳細さ,広汎さは半端なものではなく,そこに描かれているストーリーは相当に史実に近いと思われます。
そこでこの旅の2日目は,朝食をとってしばらく休んだ後に,道後温泉駅から大街道駅へ移動し,早速「坂の上の雲ミュージアム」に直行しました。し,しかし・・・。事前調査が甘く,その日月曜日は何と休館日だったのです(笑)。相当にがっかりしましたが,気を取り直して急遽路線を変更して松山城を観光することにしました。
大街道駅から12,3分ほど歩きまして,ロープウェイ・リフト入り口までやって来ました。天気は快晴に近かったし,桜も本当に美しかったので,私たちはリフトで新鮮な空気を吸いながら頂上の松山城を目指しました。その威容を眺め,内部も観覧しましたがなかなかの名城です。賤ケ岳の七本槍の一人,加藤嘉明の時代に着工されました。
山頂から下りるリフトからの景色も素晴らしく,前のリフトに乗ったカミさんの後姿を見ているとその時何だか感謝の気持ちが湧いてきました。リフトにちょこんと子供のように乗ったカミさんの後姿は思ったより小さく見え(実際には155センチほどはありますが),いつも家事全般をこなしてくれ,仕事の手伝いもしてくれているのです。誠にありがたいことです。
さて,威容を誇る松山城。ホテルの窓からもこの松山城を観ることができるのですが(夜はライトアップされています),この城は城下の市民の生活,平穏を静かに暖かく見守っているような風情を感じました。
そして,昼食です。昼食場所はもちろん私が下調べしており,さきほどのロープウェイ・リフト入り口にほど近い「丸水(がんすい)」という名店で,とても美味しい鯛めしを食べさせてくれる所です。昼飯時は行列ができると脅されていたので,私たちは早めの11時半ごろには店に到着しました。待つことなくすぐに案内していただき(接客もとても丁寧で感じ良し),美味しい鯛めしを堪能しました(私はビールも)。松山でいただく鯛めしというのは(宇和島辺りでも同様),いわゆる漁師料理で鯛の切り身が生で皿に盛られ,別の器には濃厚な出し汁の中に卵が割入れられ,それをかき混ぜて鯛の切り身を適量浸し,お好みに応じて薬味を入れ,味の付いた鯛の切り身を温かい白ご飯の上に乗せていただくというものです。絶品です。名古屋辺りでいただく鯛めしというのは炊き込みですが,松山では漁師料理風なのです。この時はもちろんビールのおつまみはじゃこ天です(笑)。
とても満足した私たちは,腹ごなしの意味で歩きに歩き,道後公園に至りました。目的はそこにある松山市立子規記念博物館です。ここは正岡子規の世界を中心とした,文学系の博物館であり,病苦の中にあっても逆境にめげず主に俳句の世界で立派な業績を残した子規の生涯とその業績が把握できます。この博物館には書籍販売コーナーがあり,「病牀六尺」(岩波文庫),「秋山真之の謎を解く」(片上雅仁著,アトラス出版),「山頭火と松山」(NPO法人まつやま山頭火倶楽部編,アトラス出版)の3冊を衝動買いしてしまいました(笑)。
私のこのブログでもたびたび登場し,私がその句をこよなく愛する種田山頭火は,松山市内の「一草庵」を終の棲家としてこの地で鬼籍に入りました。
旅の2日目はこんな感じでした。私もそこそこ疲れましたので,道後温泉のアーケード脇のじゃこ天屋さんに立ち寄り,揚げたてのじゃこ天と,じゃこカツをいただきました(カミさんと半分ずつ)。じゃこカツは特に美味しかった。そして私はホテルに戻って温泉の一番風呂,貸し切り状態を満喫し,カミさんはというととても元気者で,ホテルで小休止をした後に道後温泉の一角にある温泉まで出かけて温泉に浸りました。
明日は2泊3日の旅の最終日ですが,「坂の上の雲ミュージアム」と「秋山兄弟生誕地」だけは絶対に行きたい!私は彼らの生き方に敬服しているのです。・・・(続く)