5月24日の左眼の白内障手術も無事に終了し,これで同月17日の右眼の手術と併せて白内障手術が完結した訳であります。術後の眼圧検査や視力検査,そして診察結果も比較的良好で推移しており安心しております。
もちろん生まれて初めてでしたが,今回は何かと良い経験をさせてもらいました。生体に対する侵襲行為には違いなく,眼のごく一部を切開等する訳ですから不安や恐怖心もありましたが,今となっては良い思い出です(笑)。
白内障手術を受けることが決まった時,私はどういう訳か独身時代に観たルイス・ブニュエル(サルバドール・ダリとの共作)の「アンダルシアの犬」という無声短編映画の不気味な1シーンのことを思い出しました。この映画,冒頭に女性の左眼がカミソリで真横に切り裂かれるというショッキングなシーンがあります。私も映画館でこれを観てたまげましたが,実はこのシーンで使用されたのは死んだ子牛の眼だったそうです。この映画はシュルレアリスムの傑作と評されてはおりますが,各シーンの意味や連動性,脈絡,何を表現したかったのか,私は未だに理解できません(笑)。
また,白内障手術と言えば,私がその音楽をこよなく愛しているヨハン・セバスティアン・バッハがその最晩年にこの手術を受け,結局はそれが失敗して失明し,約4か月後に亡くなってしまったという痛ましい史実を思い出します(1750年7月28日)。失敗も何も,執刀したイギリス最初の眼科医と言われるジョン・テイラーという人間は稀代のヤブ医者,ニセ眼科医などと言われた男ですし,同時代の大作曲家ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルもこの男の手にかかって目の手術失敗という憂き目にあっております。本当に不幸なことです。おそらく麻酔などもされずに,痛かっただろうし・・・。
さてさて,手術後には何かと不自由をしました。えっ?と思ったのは,術後1週間は洗髪,洗顔,カミソリによる髭剃りが禁止されます(電動カミソリはOKとのこと)。2週間にわたって左右の眼の手術をする訳ですから,その不自由さは筆舌に尽くしがたいのですが,どうやらこういった措置,指示は眼に細菌が入ったりして感染を防止するためです。でもね・・・,髪が洗えない,髭が剃れないなんて(家には電動カミソリなんかありません)・・・。手術の翌日からは首から下の入浴はできますが,洗髪等ができないというのは本当にイヤですよ。
主治医の先生やスタッフはもちろん信頼しておりますし,患者としてその指示には従いたいと思いますが,洗髪とカミソリによる髭剃りだけは,私はこっそりと反旗を翻しました(笑)。細心の注意を払い,眼に水などが入らないように眼をつぶってカミソリで髭を剃りました。敢然と反旗を翻したのです。でも,愕然としたこともありました。2,3日髭を伸ばしていたら,私の髭の約半分は白かったのです(笑)。もう完全にジジイです。
次に,洗髪を敢行するぞと決めてから,私はカミさんにお願いして通販でシャンプーハットを購入してもらい,到着した夜に3日ぶりに洗髪したのです。洗髪って,本当に気持ちが良い・・・。それに,シャンプーハットを発明した人は誰なんだろう。凄い発明だと思います。こんなに重宝なものはない。シャワーをジャンジャン浴びても,お湯が顔にかからないんですもの。もちろん自分一人しか見ていないとは言うものの,裸でシャンプーハットを装着した自分の姿を洗面の姿見で見た時は,情けなかったです。エリマキトカゲにしてはエリマキの位置が上過ぎるし,カッパにしては皿が下過ぎるし,ちょっとした珍獣でした(笑)。それでも洗髪の爽快感には代えがたい。
後は,当分は眼鏡なしです。術後の視力が安定するまで,1か月は眼鏡の処方ができないということだからです(さすがに1か月は長いような気がしますので,短縮を主治医にお願いしてみようと思いますが)。おかげさまで近く,例えば本や新聞を読むときなどは見違えるほど鮮明に見えますが,遠方はやはり眼鏡で視力の矯正が必要です。当分は眼鏡なしで過ごしておりますので,合う人合う人にいちいち事情を説明するのが面倒です(笑)。
これにて白内障手術は無事に完結。あとは一定期間は定期的に通院となります。早く眼鏡を作りたい。麻雀はできますが,眼鏡がないと車の運転やゴルフに支障がありますから。