担当している事件処理のために新幹線で出張する場合,「のぞみ」で移動することが圧倒的に多いのですが,ここ半年では珍しく「こだま」を利用することが数回あり,恐らくは年内にあと1回が予定されております。行先は静岡県の掛川です。
名古屋から掛川までを「こだま」でのんびりと往復していますと,車窓からは浜名湖も見えてきますし,緑豊かな山間の村々の風景も私の眼を楽しませてくれます。車窓からの美しい自然を楽しみながらビールでも一杯といきたいところですが,赤ら顔で裁判所に行く訳にはまいりません(笑)。でも最近は,もちろんこの区間だけではなく他の路線でもソーラー発電の施設がやたら目につきます。山々や小高い丘の森林を容赦なく伐採し,豊かな緑を失わせ,露出した黄土色の広大な山肌に設置されたソーラ―発電施設の傲然とした風情を目にすると興ざめしてしまいます。
プレジデント・オンラインというサイトでは,先日評論家の櫻井よしこさんがソーラー発電等(洋上風力発電なども含む。)の分野で中国企業がやたらと進出し,日本の土地を買い漁っていることや,日本人の支払う電気料金が中国企業に流れる仕組みに警鐘を鳴らしておりました。
そういえば,我が家の月々の電気料金の請求書をよく見ますと,「再エネ発電促進賦課金」なる項目が計上されており,私が支払う電気料金の一部を構成しています。太陽光であれ,風力であれ,再生エネルギー事業は固定価格買い取り制度(FIT)で守られ,一旦これらの事業が認可されれば生み出した産業用電力は比較的高く設定された固定価格で20年間ずっと買い取ってもらえます。買い取るのは電力会社であっても,このコストは各家庭の電気料金に再生エネルギーのための賦課金として上乗せされ,全てが国民負担となります。
この分野での中国共産党ないし中国企業の不気味な動きは無視できません。富山県入善町の洋上風力発電事業に中国企業が入ることになりましたし,青森県むつ市では使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建設中ですが,この施設の真ん前の広大な土地が上海電力に買われてしまっております。また,上海電力が取得していたのはここだけではなく,むつ市の陸奥湾に面した海上自衛隊の大湊地方隊の基地近くの一体も買われておりました。いずれも登記上は日本人女性が所有していることにはなっておりますが,事業認可はSMW東北という合同会社で,その会社の住所は上海電力だそうです。また,上海電力の100%子会社である上海電力日本㈱が,山口県岩国市のメガソーラー事業を買収した事実も報道されましたね。その広さたるや東京ドーム25個分と言われております。
さきほど富山県入善町の洋上風力発電事業に触れましたが,洋上風力発電事業に関しては,再エネ海域利用法に基づいて入札が行われ,そのさい,公募事業者には海底の資料(潮流,風向き,海底の地形,地質など)が全て公開され,この資料は応募しただけで入手できます。さらに選定された事業者は区域占有許可を与えられ,30年間にわたってその海域を占有することができるだけでなく独自に海底調査をすることもできます。
中国企業はたとえ民間企業の形ではあっても中国共産党の支配下にある訳ですから,日本列島は洋上風力発電の名のもとに合法的に丸裸にされる仕組みであり,また,経済的にはFITを利用した再生エネルギー事業では,私たち国民の支払う電気料金がそのまま中国企業を潤す仕組みにもなっている訳です。
評論家の櫻井よしこさんは,国土の安全保障のために日本国の政治家は危機感をもって迅速に動くべきだと力説しており,同感です。自由民主党も保守政党を標榜するのであれば,少しは危機感というものをもったらどうでしょうか。
以前このブログでもご紹介しましたが,「目に見えぬ侵略-中国のオーストラリア支配計画」(クライブ・ハミルトン著,山岡鉄秀[監訳],奥山真司[訳],飛鳥新社)という本はとても良書ですよ。これは中国共産党による密かな(時に露骨な)政治工作,世界侵略の一端を垣間見せる本ですが,我が国においても中国企業や中国人による土地買い漁りについて,一定のそして有効な規制をするべきでしょう。