以前にもこのブログで述べたことがあるのですが,私が愛読している産経新聞の朝刊には,「朝の詩(うた)」というコーナーがあります。これは,全国の読者から寄せられた詩作を選者が選び,これを紹介するものです。
それがですね,結構秀逸なものがあるのですよ。最近では「朝晴れエッセー」のコーナーともども,新聞記事などに入る前に目が行くようになりました。数日前には,東京都渋谷区に住む御年82歳のおばあさんの作品が紹介されていました。ちょっと引用させていただきますが,「モガ」という表題で秀逸ですよ。
「ロングスカトっこ はぐべがな 水玉のブラウスっこ 着るべがな
シャッポどっすべ くつだば ヒールの高いの どんだべの
ええふりこいで いっちょまえの モダンガール でけだどお
どごさ行ぐべ」
御年82歳だそうですが,その詩心といい感性といい,立派なモダンガールです。表題に「モガ」とあって,最初は何のことかなと思いましたが,大正後期から昭和初期にかけて流行った「モダンガール」の略のようですね。私もまだ老け込む年齢ではなく,気を確かに持って生きていきたいと思います(笑)。
佳い詩だなと思いますし,何かしら勇気をいただきました。
それにしても名詞などに「・・っこ」,「・・っこ」と付けるのは東北弁などでよく見られますね。どじょっことか,ふなっことか,犬っことか,飴っこなど・・・。このように「こ」を付けるのを指小辞(ししょうじ)というのだそうです。日本語学者櫛引祐希子さんの小論文によれば,指小辞とは,名詞・形容詞・副詞に特定の接辞を付けて,それらの語のさす事物の寸法・度合いがごく小さいこと,または,その表す性質・程度が軽少・微弱であることを意味し,愛らしさの強調や,愛着や親密さ,またはその逆に軽蔑や侮辱などの情緒的表現として用いられることが多いようです。さきほどの詩での指小辞の使われ方は,愛着や親密さを表す表現であり,やわらかい感じがいたします。