「ジャジャジャジャーン!・・・ジャジャジャジャーン!」
このような有名な出だしの音楽はというと,ベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調(作品67)ですね。人口に膾炙した名曲です。日本では「運命」という通称も付けられています。・・・でも何で「運命」という名が付けられたのでしょうか。
私も信じていたかつての通説的な見解は,ベートーヴェンの秘書であったアントン・シンドラーの供述,すなわち冒頭の4つの音についてベートーヴェン自身が「運命はかくのごとく扉を叩く」と言ったことに由来するという説が信じられておりました。しかしその後の調査で,シンドラーがベートーヴェンの「会話帳」の内容を改ざんしていたことが明らかになっており,その説の信憑性には問題があるようです。
一方,ベートーヴェンの弟子であったカール・チェルニー(ピアノ教則本「バイエル」を終えた後にやる「チェルニー30番」などの練習曲集で有名)は,この冒頭の4つの音について,「ベートーヴェンがプラーター公園を散歩中に聞いたキアオジという鳥の鳴き声から発想を得た」と述べています。
どうあれ,冒頭の4つの音,「ジャジャジャジャーン」あるいは「タタタター」というのは,確かに運命が容赦なく扉を叩いているかのような感じもしますよね。日本ではベートーヴェンの交響曲第5番には決まって「運命」という名が付けられています。
「運命は扉を叩く」といえば,いきなり尾籠な話で恐縮ですが,おかげさまで私はお通じの方は極めて順調で,間隔に多少の狂いがあっても全く心配していません。どうせ「運命は扉を叩く」なんて感じで普通に過ごしていれば,決まって自然のお通じがあるからです(笑)。
またこの「ジャジャジャジャーン!」という曲で思い出すのは,野球のアメリカメジャーリーグ,ドジャースタジアムでのオルガン演奏です。ドジャースの対戦相手チームの選手が三振で倒れますと,決まって「ジャジャジャジャーン!・・・ジャジャジャジャーン!」と流されるのです(爆笑)。私はいつもそのシーンで思わず笑ってしまうのですが,三振で凡退してダッグアウトに退く際にこの曲が流されれば,相手選手も内心決して愉快ではないでしょう(笑)。
泉下の人となったベートーヴェンも,後世まさか自分のこの曲が三振凡退の場面で使用されるとは思ってもみなかったでしょうね。