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弁護士ブログ

2009/01/29

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 中学3年生から高校に進学する頃に,僕はピアノのレッスンを受けるのを終了した。長距離のレッスン通いを共に続けたST君も恐らくその頃にやめた記憶だ。共に進学のための勉強などが理由だったと思うし,概ね3年間を一応の区切りにしたのだ。チェルニー30番とソナチネアルバムの途中まで進んだが,そのあたりまで進むと,それほど難易度の高くない曲だったら,楽譜を見て,つっかえつっかえでも弾けるようになっているものである。僕はそれ以来,特にピアノを習ったりしていないし,たまに気が向いた時に弾くだけだから,今の腕前といっても全然大したことはない。

 

 音楽遍歴というからには,その当時よく聴いていた曲の紹介になるが,やっぱりまだショパンが圧倒的に多かった。レコードジャケットで今も覚えているのは,サンソン・フランソワというピアニストが演奏するバラードとスケルツォ集である(各4曲)。何かしら鼻の下に少しヒゲを生やしたダンディな人だったと思うが,その音色が非常に美しく,艶っぽかった。あっ,そうそう。思い出した。何でショパンのバラードが入ったアルバムを買ったかというと,その頃,NHKの番組か何かで,巨匠ヴラディーミル・ホロヴィッツがカーネギーホールでショパンのバラード第1番を弾いている映像を見たり聴いたりして,「こりゃ,すっげーわ。」とたまげたからである。勿論このピアニストは20世紀を代表する人である。僕が習っていた頃は,先生に,「はい,両こぶしを卵形に握ってー。はい,少し力を抜いてー。そうそう,そういう手,指の格好で弾くんだよー。」と教わっていたのに,このホロヴィッツは,指を相当に伸ばしたまま,それでいて凄い速さと美しい音色で超絶技巧(テクニック)を発揮するのである。

 

 ところで,高校1年生の時は,3歳上の姉(当時は大学1年生)の影響で,カーペンターズの曲に首ったけになっていた時期がある。「イエスタデイ・ワンスモア」,「遙かなる影」,「トップ・オブ・ザ・ワールド」,「ジャンバラヤ」,「マスカレード」,「雨の日と月曜日は」なんかをよく聴いた。だから,クラシック一辺倒だった訳ではない。正月のお年玉で,その当時発売されたばかりの「ナウ・アンド・ゼン」というカーペンターズのアルバムを買った。このアルバムは,そのタイトルからも分かるとおり,その当時のカーペンターズの新曲と,その当時からすれば一昔前のナツメロをカヴァーした曲が入っていた。この中に入っていた古い曲としては,「ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド(この世の果てまで)」というのがとても佳い曲で印象に残っている。それにしても,カレン・カーペンターという人は,出色の女性ヴォーカリストで,本当に歌が上手いなぁと感心していた。それが,その後拒食症などが原因で早世してしまったのは本当に残念である。

 

 このアルバムを聴いていたら,母が,「そういうの買うんだったら参考書でも買ったら?」みたいな嫌みを言ったことを,僕は今でも執念深く覚えている(僕の脳細胞ちゃんたちは,大切なことは忘れる一方で,大昔のこのようなどうでもよいことを覚えている)。母にしてみれば,クラシック音楽好きの良い子の僕が,急に不良か何かになってしまわないかと恐れをなしたのかもしれない(笑)。ハッ,ハッ,ハッ。カーペンターズのような佳い,健全なポピュラー音楽が不良だなんて・・・・・。このように一瞬勘違いした母は,幸い今も元気で健在である。

 

 

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