高校時代後半は,正直言って,音楽的には冬の時代だったかもしれない。勿論,夜にインスタントコーヒーを飲みながら音楽を聴く機会はあったが,それほど多くはなかった。ショパンのピアノ曲を中心としながらも,様々な作曲家の曲をちょこっとずつつまみ食いはした。今でも記憶に残っているのは,ストラヴィンスキーの舞踊組曲「春の祭典」に度肝を抜かれたということだ。
さて,大学受験を控えて,図書館で勉強していた時のこと。MY君という友人が,何の脈絡でかは思い出せないが,「元松君,ビートルズは好き?」と尋ねてきたのである。意外だった。彼は勉強もよくでき,確かお父さんも校長先生の教育一家で,イメージ的にはおよそビートルズとはほど遠かった友人だったからである。話を聞いてみると,彼はビートルズが好きだというのだ。僕はというと,このブログでも前に触れたが,確かに僕が中学1年生の時に「レット・イット・ビー」という曲に感動したことはあったものの,それっきりであった。このMY君の言葉がきっかけで,「へぇ,そんなにいいのかぁ」という感じで,ビートルズの曲に再び,しかも非常に興味を持つようになった。
大学受験を控えていたのではあるが,その当時,民放ラジオで,確か,鈴木ヒロミツさんがやっていた30分番組で(毎週日曜日の夜8時頃だったと思う),「ビートルズ大集合!」というのがあって,これを毎週楽しみに聴いていた。高校生時代の後半は,大学受験もあり,お小遣いも限られていたから,ビートルズのレコードを買うことはなかったものの,好きな曲はいっぱいあった。その当時好きだった曲は,「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」,「抱きしめたい」,「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」,「ザ・フール・オン・ザ・ヒル」,「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」などであった。とにかくこの頃は,大学に入ったらアルバイトをして,クラシックやビートルズのレコードを買いまくるぞ!という一心であった。