源氏物語を最初に少し学んだのは,高校生の古文の授業の時でした。確か「若紫」の帖をやったことは覚えておりますが,学んだと言ってもほんの少しです。その後,大学生時代にはあんなに時間があったのに,食指が向きませんでした。私の浅はかな考えだったのかもしれませんが,主人公である光源氏に軽薄なプレイボーイのイメージが払拭できず,そんな世界には全く興味がないなと思っていたのです。大学生時代は,そんなものよりは三島由紀夫だと思っていたのです。
でも年齢を重ねる,いや馬齢を重ねるにしたがって,だんだんと日本の古典文学の価値がどれくらい素晴らしいものなのか,日本人に生まれながらそれを知らないままに死ぬのはもったいない,口惜しいという気がしてきたのです。最近でも,「日本霊異記」や「雨月物語」などを読みましたが,やはり源氏物語の世界は知っておくべきでしょうね。
知日家に限らず,外国人は源氏物語の存在を知る人が多いようです。外国語の翻訳も多いこともあり,源氏物語を読破した外国人も多く,源氏物語を研究対象にしている人も多いようです。源氏物語というのは一体全体どんな世界なのでしょうか。興味が湧いてきます。情念,嫉妬,諦観などの渦巻く世界なのでしょうかねぇ。
さて,問題は時間です。私だって世のため,人のために弁護士としての仕事に追われております。その現代語訳とはいえ,いきなり源氏物語の原典に当たるには勇気がいりますし,時間がありません。そこでふっと思い立ったのが,源氏物語の全ストーリーを網羅する分かりやすい漫画はないだろうかということでした。安易な方法で,邪道と言われるかもしれませんが,マンガから入ろうと思いました。
そこで知ったのが,「あさきゆめみし」(大和和紀著)というマンガです。これでいきましょう,取り敢えず・・・。マンガから入って行くのです,源氏物語という深い森の中に。まずは,「あさきゆめみし」(大和和紀著)の完全版の第1巻から第3巻までを買っちゃいました(笑)。
それにしても「あさきゆめみし」ですか,なかなかのタイトルですね。これは,いろは歌(いろはにほへと・・・)からきているようです。
「色は匂えど 散りぬるを 我が世誰そ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ 酔いもせず」
花は咲いてもすぐに散ってしまう。そんなはかない世の中にずっと同じ姿で居続けるものなどありはしない。人生という険しく困難な山道を今日もまた越えていくのかな。はかない一時の夢なんかは見たくないものだ。酔ってもいないのに・・・。
これがいろは歌の大意なのですか。古くから日本人の感性というものは素晴らしい。