元気のない日でも,幸い,朝ご飯はとても美味しい。うちでは伝統的に,朝は,白いご飯に,味噌汁,納豆は定番で,そのほかにアジの開きだったり,卵焼きだったり,簡単な一品が添えられる。朝食はしっかりとるのである。これこそ大人と子供の基本である。
それはそれとして,やはり本日は音楽の話。これまたうちでは,伝統的に,朝ご飯の時はテレビなどは一切見ずに,音楽を聴きながら朝食をとる。ただ,いつも朝食そのものは美味しくても,あまり気の乗らない平日の朝は確かにあるものだ。できれば今日は自宅で仕事をしたいなぁといったような・・・。そういう日は,自分を何とか鼓舞するために,バッハの教会カンタータ第147番「心と口と行いと生活で」を聴きながら朝ご飯を食べるようにしている。
そうすると何となくやる気が出てくる。この教会カンタータ第147番は,バッハが働き盛りの38歳の時に成立,完成した傑作である。この147番は,やはり何といっても,第6曲と第10曲に位置する「主よ,人の望みの喜びよ」があまりにも有名であろう。でも僕があまり気の乗らない平日の朝に自分を鼓舞するために好んで聴くのは,むしろ第1曲の方である。ハ長調,4分の6拍子。何やら祝祭的な,軽快なトランペットソロとオーケストラとの協奏で始まる。特に通奏低音部の軽快なリズムが僕の気分を高揚させるのだと思う。
バッハも人間。ライプツィヒの聖トーマス教会のカントルとして,やりがいがある一方で,ストレスがたまり,やる気をなくす時もあったであろう。多くの教会カンタータの中には自分の士気を鼓舞するために作曲,演奏したものもあったのではないかと思う。僕の場合は,第147番の第1曲目だ。さあ,今日も頑張るか。