もう,ストイコビッチ監督の下では限界があるのだと思います。昨日のACLにおける対アデレード戦は0-1で敗れ,その前のJ1のリーグ戦でもホームでありながらセレッソ大阪に0-1で,そしてアウェーでしたがベガルタ仙台には0-4の完敗を喫しています。ベガルタ仙台戦の終了後は,怒ったグランパスサポーターが選手らを乗せたバスの前に立ちはだかって抗議したそうです。
名古屋グランパスはJ1の順位表を見ても現在は13位に低迷していますが,これは故無きことではありません。それ以前からの試合内容の悪さからして当然の結果とも言えるでしょう。順位どおりの試合内容です。そして一言で表現しますと,今のグランパスはどんなサッカーがやりたいのか全く分からず,個人技頼みの場当たり的なサッカーをしているということに尽きるでしょう。
ストイコビッチ監督は,チームを託されてもう4年半も経ちますが,はっきり申し上げて,J1屈指の選手を多く擁しながら,有機的な結合を窺わせるような組織的なチーム戦術が未だに確立できずにいます。特に目立つのは中盤を構成できていないことで,試合全体のボール支配率では相手チームと遜色はなくても,少なくとも中盤のエリア内でのボール支配率はリーグでも最低に近いのではないでしょうか。中盤でのパスがつながらないのです。
さきほど,どんなサッカーがやりたいのか全く分からないとは申しましたが,ただ一つだけ明確に分かっているのは,不用意なプレーで失点してリードを許し,残り時間が切迫してくるとDFの闘莉王を最前線に上げ,やたらペナルティーエリアに向けてボールを放り込んでパワープレーをするという点だけです(笑)。
監督としては未知数でも,その人気と名声でグランパスの監督に招聘したのですが,今のグランパスではストイコビッチ監督に意見できる人はいないのでしょうね。実際にはストイコビッチさんは,監督としての仕事よりも,「もっと頑張れ!」と叱咤する先輩のような役割しか果たしていないのではないでしょうか。でも,プロの「監督」ですから結果が出なければ責任を取るべき時はあります。
昭和58年当時は私は公務員として東京で勤務し,安月給でしたので,この年に初来日した世界的名ピアニスト,ウラディーミル・ホロヴィッツのピアノリサイタルのチケットには手が届きませんでした(定かではありませんがS席で5万円くらいしたのではないでしょうか)。でも,後の評論で知ったのですが,この時のホロヴィッツの演奏はミスタッチも多くて精彩を欠いていたようです。その当時,私もそんな評論を目にして行かなくて良かったかなと思ったくらいです。先ごろお亡くなりになった音楽評論家の吉田秀和さんは,新聞などによりますとこの時のホロヴィッツの演奏について「骨董、ひびが入っている。」と忌憚なく評論したそうです。ただ,その数年後にホロヴィッツが再来日した際には,吉田秀和さんもその演奏の素晴らしさを讃えています。
全然分野の違う話になりましたが,名古屋グランパスの監督に誰か忌憚のない意見をしてくださいよ。もっとスペクタクルな,見応えのある,強いなと思わせるようなサッカーをしてください。