その日はハードな日程でした。事務所で書き物(弁護士が「書き物」というと,たいていは準備書面か何かです。)をしなければならないだけでなく,一宮や春日井へと,愛車を駆って小さな出張,そして警察署での接見でした。
車の中でラジオを付けましたら,ちょうど1980年代初期の頃の歌謡曲の特集がされており,何気なく聴いていましたら,石川ひとみさんの「まちぶせ」が流れてきました。・・・佳い曲です。曲が終わってハッと我に返ったら,不覚にも涙が出ておりました(笑)。「おめぇ,なに昼間っから泣いてんだ!」と突っ込まれそうですが・・・。
でも,何ででしょう。知らぬ間に感情移入していたのか,それとも別の理由があったのか,訳が分かりません。よくよく考えてみましたら,この「まちぶせ」という曲を聴いて昼間っから少し涙ぐんでしまったのには,次のような訳があったのかも知れません。
まずは,何よりもこの「まちぶせ」という曲(作曲・作詞荒井由実)そのものの素晴らしさです。メロディーといい歌詞といい,誠に素晴らしい。バッハの「マタイ受難曲」が名曲(傑作)であることは論を待ちませんが(笑),歌謡曲の世界ではこの「まちぶせ」は名曲(傑作)だと思います。
そして,この歌詞は切ない乙女心を表現していますが,要するに,自分が心から好きな人には別に付き合っている人がいる,その後別れたという噂があるけど,自分から言い寄ったりはしない,でも,いつかはきっと,好きなその人を自分の方に振り向かせてみせる・・・そういった歌詞です。私も中学校,高校時代には,やはりクラスの中に好きな人はおりましたが,男らしく告白すればいいのに,自尊心が高かったのでしょうか絶対にそんなことはせず,独りよがりではあってもそれなりの自信はあって,いつかは振り向くはずだなどと勝手に思い込んでおりました(笑)。若かりし頃のそんな切ない思いがよみがえってくる曲です。
また,石川ひとみさんは,活躍していた若い頃に慢性B型肝炎に罹患していたことが分かり,療養生活を経て復帰したと思ったら,プロダクションから契約を解除されてしまいます。一時期表舞台から姿を消しておりましたが,その後歌手活動を再開し,病気も克服し,現在では頑張っておられます。むかし,NHKの人形劇でプリンセス・プリンプリンの声でも活躍されていたことを私は知っております(笑)。懐かしいのですよ。幸い私は大病もせず何とかやってきましたが,石川ひとみさんは年齢的には私と同年代で,病気を乗り越えて頑張っておられるという意味では,何か人生を一緒に戦ってきた戦友みたいにも思えてくるのです。
以上述べてきたような様々な要因が,昼間っから私を涙ぐませたのでしょう(笑)。みなさん,「石川ひとみ」とキーワードを入れて検索してみれば,彼女の歌う「まちぶせ」がユーチューブにアップされております。アイドル時代のものと割と最近のものがアップされておりますが,どちらも素晴らしい。
くどいようですが,「まちぶせ」は名曲です。