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弁護士ブログ

2013/05/21

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 昨日はじり貧というタイトルで書きましたが,実はじり貧は名古屋グランパスだけではありません(笑)。法科大学院,ひいては新司法試験・法曹養成制度もじり貧状態になっているのです。

 

 今,一般の方々の中には,裁判官,検察官,弁護士,すなわち法曹三者を養成する司法試験制度がどうなっているのか詳しくはご存じない方が多いのではないでしょうか。私が合格した当時は,5~600名の合格時代で,確か2万数千人が受験しておりました。熾烈な競争率,合格率でしたが,受験生の間では何と言っても公平感というものがありました。

 

 でも,2004年度からは法科大学院制度が発足し,法科大学院修了者にしか受験資格が与えられないということになったのです。まずこの時点で高い学費を負担できる経済的に余裕のある者が有利となっていました。

 

 鳴り物入りでスタートした法科大学院,新司法試験制度でしたが,合格率は当初標榜していた水準とはほど遠く,しかも政策的に合格者数が増やされ,年間2000名を超えるようになり,合格者(その後司法修習生,法曹)の質の低下が叫ばれるようにもなったのです。

 

 さらには,急激な法曹人口の増加(そのほとんどは弁護士)により,次第に弁護士志望者の就職難が現実のものとなり,せっかく司法試験に合格したのに,事実上弁護士登録ができない状況に追い込まれる人も出てきました。その数は無視できない数になっております。また,私たちの頃は司法修習生時代は国からお給料をもらっていたのですが,そのような給費制は廃止され,現在では貸与制(つまり司法修習生時代の生活維持等のためにお金を貸与すること)になり,やっとのことで弁護士登録をした1年生の中には,法科大学院の学費捻出による借金と,司法修習生時代の貸与制による借金とで,総額1000万円に近い借金を背負って弁護士生活をスタートせざるを得ない人もいます。

 

 こんな新司法試験制度,法曹養成制度に魅力を感じる若者がいるでしょうか。この点については,数字が雄弁に物語っております。2004年の法科大学院制度スタートの年には,法科大学院への志願者数が何と約7万2800名にも達していたのに,本年度の志願者数は1万3924名にまで落ち込んでおります。そして実際に法科大学院に入学した人数は,初年度(2004年度)の5767名に対し,本年度は2698名になっています。また,受験者等を募集した法科大学院全69校のうち,93%に当たる64校で「定員割れ」という現象が生じているのです。さらには,うち40校では入学者が定員の半数にも満たず,23校では入学者が10人未満という悲惨な状況です。

 

 一方,司法試験受験資格を法科大学院修了者に限定することの不公平性を自覚してか,さすがに当局も,最近では「予備試験」合格者(必ずしも法科大学院を修了する必要はありません)にも受験資格を与えているのですが,本年度の予備試験受験者数は9224名(速報値)であり,年々増加し,法科大学院入学者2698名と比較すれば格段の差があります。しかも,この法科大学院・新司法試験制度をスタートさせたお偉方の目論見に反し,法科大学院修了者の合格率よりも,「例外的な制度」である予備試験に合格して受験資格を得た者の合格率の方が圧倒的に高いのです。

 

 まとめに入りましょう(笑)。法科大学院制度,そして原則として司法試験受験資格を法科大学院修了者のみに与えるという制度は質的にも,量的にも既に破綻しているのです。ホットコーヒーを注文しておきながら,それを誤ってこぼしてやけどをした人間が,「熱いから気をつけてください。」という警告がなされなかったという理由で損害賠償請求訴訟を起こしたり,アンビュランス・チェイサー(救急車を追いかける不道徳な弁護士を揶揄したもの)という言葉が定着しているアメリカのような訴訟社会と,日本国の国民性とは全く異なるのです。ロースクールなるものを闇雲に日本社会に定着させようとし,闇雲に弁護士を増加させればよいという安易な発想こそ現在の混乱,破綻状況を招いたのです。

 

 司法試験・法曹養成制度がこのままでは,本当に優秀な人材の確保すら困難になり,本当にじり貧になってしまいます。昔のような制度で何が悪いのでしょうか。

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