昨夜は絶対に休肝日にしようと思っていたのですが,事務所を出て帰宅の途につく直前,プロ野球の速報を確認したら,7回までに巨人が阪神を4-1でリードしているではありませんか。すぐに決心が揺らぎ,コンビニでエビスビール2缶を購入し,我が家で晩酌と相成りました(笑)。しかし,今の巨人は打つ方も守る方も不安定です。本当にハラハラさせます。結局は5-4の辛勝でした。
巨人の試合をとても正視はできなかったため(笑),チャンネルを変えたりしていましたら,NHKのBSで「浮世絵ツアー江戸の四季めぐり 夏の巻」という番組に出くわしました。これが本当に面白い番組で,つくづく江戸の文化,ひいてはこの日本文明の素晴らしさについて感じ入りました。文明というと大げさなようですが,日本には確かに独自の文化,伝統,人情,美意識というものがあります。やはり日本文明は,サミュエル・P・ハンティントンも述べているように,日本一国のみで成立する全く独自の文明なのです。渡辺京二さんが書き表した「逝きし世の面影」(平凡社ライブラリー)の世界なのです。これは名著ですよ。くどいようですが,江戸時代の庶民の文化は誠に素晴らしい。この番組ではいろいろなものを紹介していましたが,「線香花火」の儚げな美しさについて触れていました。
もともとはこの花火は公家が花火を香炉に立てる形で楽しんでいたのですが,その姿が仏壇の線香に似ているものですから,「線香花火」という名称になったのです。今では手で持って楽しみます。
線香花火には,火を付けてから儚く終わるまで4つの過程があります。第1段階は「牡丹」と呼ばれ,先に「玉」ができます。人生で言えば幼年期でしょう。第2段階は「松葉」と呼ばれ,玉が激しく火花を発します。人生で言えば青壮年期でしょう。第3段階は「柳」と呼ばれ,火花が低調になりますが,これがしだれ柳のようにしなやかで風情があります。人生で言えば熟年期(私もこれに属するようです。)でしょう。そして第4段階は「散り菊」と呼ばれ,最期は赤い玉がぽとりと落ちます。本当に線香花火は素晴らしく,儚く,とても美しい。