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弁護士ブログ

2023/06/19

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何ですって?LGBT理解増進法案が衆参両院で可決したんですって?本当に大丈夫なんですかね。私は,この法案の内容そのものに対する疑問をもっており,またこの法律は,その実施段階では現場で相当混乱するなどの問題点をはらんでいると思っております。何よりも背後でゴリ押しした岸田首相の不純な動機と無責任さに立腹しております。

 

この法案をめぐっては,「ジェンダーアイデンティティー」なる英語が法律上の文言として明記されていますが,この用語の概念,内容は我々一般人の頭にすっと入って来ますか?これは医学的知見で定める性同一性障害者を指すと読める「性同一性」と訳すこともできますし,必ずしも医学的裏付けを伴わない「性自認」と訳すこともでき,その両者を包含している趣旨でしょう。仮にこの法案の中に「全ての国民が安心して生活することができるよう留意する」趣旨の文言が明記されたとはいっても,現場では相当に混乱しますよ。

 

トランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性,性自認は女性)にトイレや浴場,更衣室など女性専用スペースの利用に道を開きかねず,不安視する声が女性団体から上がっていました。現に,数日前にも三重県津市で50歳代の男性が女装して女湯に入り(湯船に浸かる),逮捕されるという事件が起こっていますし,そのような事例は最近では珍しくありません。また,経済産業省に勤務する50歳代のトランスジェンダー女性の職員が女性トイレの使用を制限した措置,人事院の判定を不服として取消し等を求めた裁判では一審と二審の判断が異なり,来る7月11日には最高裁判所の判断が出されることになっています。

 

また学校でLGBT教育を促進する条文については,たとえ「家庭および地域住民その他の関係者の協力を得つつ」などといった気休め程度の文言を加えたとしても,幼少期に「性の多様性」を教えるなどした場合,性観念が不安定な子供を混乱させることになりはしませんか。そして,日本全国にはいろいろな地方自治体があり,これまで他の分野で首長指導の下に妙な内容の条例が制定されたりしていますので,今後急進的なLGBT条例が世に出現しないとも限りません。それにスポーツの現場では,スポーツ競技の女子種目にトランスジェンダー女子の出場を認めるのかという問題もあり,現にアメリカでは水泳や自転車競技で凄いことになっております。

 

「大衆の狂気-ジェンダー・人種・アイデンティティー」(ダグラス・マレー著,山田美明訳,徳間書店)は正に瞠目すべき良著で,欧米における行き過ぎた「多様性尊重」がもたらした社会分断と憎悪の実態,社会の混乱を克明に記しております。これは一読の価値があるでしょう。

 

私は岸田文雄という人間を政治家として全く信用,評価しておりません。彼がこの法案の国会提出を急がせた理由は,まずは2月3日の荒井勝喜元首相秘書官の「差別発言」による政権危機拡大を受けて幹事長に指示し,そして対外的にも顔が立つとして何が何でも広島G7サミット(先進7か国首脳会議)前の成立をめざし,少なくともこの前には国会に法案を提出するようゴリ押ししたと伝えられています。自民党の総務会では反対意見がいつも多数を占めていたにもかかわらず,最後は強引に幹部に一任という非民主的な手法をとり,最後の最後は維新と国民民主党の案を「丸のみ」する形で法案を成立させたのです。岸田首相にとっては,成立させさえすれば内容なんかどうでもいいといった態度と受け取られても仕方ありません。極めて動機が不純で無責任だと思います。そんなことをしていては,保守層の票が本当に自民党から離れてしまいますよ。

2021/03/20

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私の住んでいる地域でも桜が開花しました。三分咲きといったようなところですかね。いつ見ても桜は美しく,私たちの心を和ませてくれます。そして散り際の潔さ。そんなところから日本人は昔からこの美しい花を愛でてきたのですね。

 

昨年の桜の頃は新型コロナウイルス感染者が徐々に増え続けていたので,相当に不安を覚えていたのですが,まあ翌年の桜の季節には収まっているだろうと高をくくっておりました。まさか未だに終息もせず,変異種ウイルスにまで怯えなければならないとは・・・。

 

さて,先日私が担当した刑事事件では,私にとっては珍しいシーンがありました。判決主文を言い渡した後,その女性裁判官は被告に対し「保釈許可が出されたけど,出られなかったですね。だから(未決勾留日数の本刑通算について)多めに入れておきました。」と言ったのです(笑)。

 

実は私が弁護人として保釈申請したところ,何とか保釈許可決定が出たのですが,結局はその被告人や関係者が保釈保証金を用意することができず,その被告人は身柄が拘束されたまま判決宣告期日を迎えざるを得なかったのです。そしてこの被告人の場合は,結論的には実刑しかなかったのですが(刑務所に行かなければなりません。),未決勾留日数というのは未決状態で勾留されてきた日数の一部を懲役刑などの刑期に算入することができます。そして算入された日数分は刑の執行を受け終わったものとしてカウントされ,それだけ社会復帰の時期が早まるのです。それにしても「(未決勾留日数を)多めに入れておきました。」とは,とてもざっくばらんな裁判官です(笑)。

 

刑事事件を担当する裁判官の中には,昔は厳しいお白洲のような法廷の雰囲気を醸し出す人もいて,今も覚えているのですがT裁判官(当時60歳前のベテラン),罪状認否の際に自分の罪を認めた被告人に対し,「それではいかにも己(おのれ)が悪いと認めるか。」などと確認していました。

 

また,これは必ずしも一概には言えませんが,被告人質問の際にとても厳しい質問を投げかける裁判官は,意外にも温情判決を出してくれたりします。その事件はいわゆる特殊詐欺の事件であり,被告人には確かに前科・前歴はなく若年ではあったものの,被害金額は100万円を優に超える事件でしたが,執行猶予付きの判決だったのです。厳しい被告人質問を浴びた時には「やっぱりこれは実刑かな。」と諦めたのですが,あの厳しい質問は,「君,しっかりしろよ!」という被告人に対する叱咤だったのです。

 

一方で,被告人質問の時には優しい口調で質問する裁判官でも,その判決内容は非常に厳しかったりすることもあります。決して油断してはなりません(笑)。

 

刑事事件担当の裁判官は,精神的な重圧を感じることが少なくないのではないかと思います。否認事件の場合は,証拠の評価を含めて厳密に事実認定をし(人を裁くのですからね。),判決宣告の際には公開の法廷で被告人と対面の上で,毅然としてその結論を述べなければなりませんし,判決理由も述べなければなりません。また自白事件であっても,実刑か執行猶予かは被告人にとっては天地の開きがあるでしょう。そんな中で裁判官は,実刑相当の事案と判断したのならば,被告人に対し毅然として実刑を言い渡すことが要求されます。少なからず精神的なプレッシャーはあるでしょうね。弁護士の目から見ても大変な仕事だと思います。

 

かつて刑事裁判を担当していたある裁判官は,職務上の精神的な重圧に負けて児童買春を行い,逆に刑事事件で自分が有罪判決を言い渡され,罷免されました。今から10年くらい前に,私は弁護士として田舎の裁判所(支部)に係属していたある家裁事件を担当していたのですが,その裁判官がやはりその事件を担当していました。物腰も優しく,とても紳士的な対応をされていた印象が残っております。

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