いや,本当に寒くなりましたね。徒歩通勤などしていると,手袋が欲しくなるくらいです。皆様,風邪など召されませんように。美味しいものを食べて,お風呂で温まり,暖かくして寝て十分な睡眠を取りましょう。そうすれば免疫力を高め,抵抗力もつき,風邪などひかずに済むわけです(笑)。
さてさて,寒いといえば,あの香港では正に寒々とした状況が現実化しております。「一国二制度」(特別行政区)とは名ばかりで,もはや完全に中国共産党の非民主的,独裁的な暗雲が垂れ込めていますね。
香港では12月10日に地方議会にあたる区議会議員選挙(4年に1度)が実施され,投開票の結果,予想どおり中国政府寄りの親中派が議席をほぼ独占しました。産経新聞でも指摘されていましたが,実は今年の7月に香港の選挙制度は民主派に極めて不利に変更(改悪)されていましたので,投開票前から親中派の圧勝が既に事実上決まっていたのです。
何とこの選挙制度の変更は,全18区で計479あった議席を470に削減し,このうち住民による直接投票枠を452から僅か88に減らすというものです。住民による直接投票枠こそが民意を直接に反映させる最後のよりどころなのに,このざまです。しかもそれだけではありません。直接投票枠で立候補するには,まず親中派で構成される地区委員会などの委員の推薦が必要で,かつ,香港政府の幹部らからなる資格審査委員会による「愛国者か否か」の審査を突破しなければならないのです。この場合の「愛国者か否か」は,端的に言えば「中国共産党に忠実か否か」を意味するのにね(笑)。
結局は今回の選挙では,民主党などの民主派政党の立候補予定者は地区委員会などの推薦も得られず,何と一人も立候補できなかったのです。民主的な考え方を有する住民としては,それに値する人が一人も立候補できないのならば,投票することの意味を見い出すことができませんね。案の定,今回の選挙で住民はシラケまくっており,前回選挙の投票率が71.2%に達していたのにもかかわらず,今回選挙の投票率は27.5%に過ぎません。
私も今から約20年前に家族と一緒に香港へ旅行したことがありました。少し猥雑な感じもしましたが,その当時は自由で活気のある場所でした。でも今は,政治面,そして住民の民意反映,自由な言論という場面では,とても寒々とした状況になっているようです。
担当している事件処理のために新幹線で出張する場合,「のぞみ」で移動することが圧倒的に多いのですが,ここ半年では珍しく「こだま」を利用することが数回あり,恐らくは年内にあと1回が予定されております。行先は静岡県の掛川です。
名古屋から掛川までを「こだま」でのんびりと往復していますと,車窓からは浜名湖も見えてきますし,緑豊かな山間の村々の風景も私の眼を楽しませてくれます。車窓からの美しい自然を楽しみながらビールでも一杯といきたいところですが,赤ら顔で裁判所に行く訳にはまいりません(笑)。でも最近は,もちろんこの区間だけではなく他の路線でもソーラー発電の施設がやたら目につきます。山々や小高い丘の森林を容赦なく伐採し,豊かな緑を失わせ,露出した黄土色の広大な山肌に設置されたソーラ―発電施設の傲然とした風情を目にすると興ざめしてしまいます。
プレジデント・オンラインというサイトでは,先日評論家の櫻井よしこさんがソーラー発電等(洋上風力発電なども含む。)の分野で中国企業がやたらと進出し,日本の土地を買い漁っていることや,日本人の支払う電気料金が中国企業に流れる仕組みに警鐘を鳴らしておりました。
そういえば,我が家の月々の電気料金の請求書をよく見ますと,「再エネ発電促進賦課金」なる項目が計上されており,私が支払う電気料金の一部を構成しています。太陽光であれ,風力であれ,再生エネルギー事業は固定価格買い取り制度(FIT)で守られ,一旦これらの事業が認可されれば生み出した産業用電力は比較的高く設定された固定価格で20年間ずっと買い取ってもらえます。買い取るのは電力会社であっても,このコストは各家庭の電気料金に再生エネルギーのための賦課金として上乗せされ,全てが国民負担となります。
この分野での中国共産党ないし中国企業の不気味な動きは無視できません。富山県入善町の洋上風力発電事業に中国企業が入ることになりましたし,青森県むつ市では使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建設中ですが,この施設の真ん前の広大な土地が上海電力に買われてしまっております。また,上海電力が取得していたのはここだけではなく,むつ市の陸奥湾に面した海上自衛隊の大湊地方隊の基地近くの一体も買われておりました。いずれも登記上は日本人女性が所有していることにはなっておりますが,事業認可はSMW東北という合同会社で,その会社の住所は上海電力だそうです。また,上海電力の100%子会社である上海電力日本㈱が,山口県岩国市のメガソーラー事業を買収した事実も報道されましたね。その広さたるや東京ドーム25個分と言われております。
さきほど富山県入善町の洋上風力発電事業に触れましたが,洋上風力発電事業に関しては,再エネ海域利用法に基づいて入札が行われ,そのさい,公募事業者には海底の資料(潮流,風向き,海底の地形,地質など)が全て公開され,この資料は応募しただけで入手できます。さらに選定された事業者は区域占有許可を与えられ,30年間にわたってその海域を占有することができるだけでなく独自に海底調査をすることもできます。
中国企業はたとえ民間企業の形ではあっても中国共産党の支配下にある訳ですから,日本列島は洋上風力発電の名のもとに合法的に丸裸にされる仕組みであり,また,経済的にはFITを利用した再生エネルギー事業では,私たち国民の支払う電気料金がそのまま中国企業を潤す仕組みにもなっている訳です。
評論家の櫻井よしこさんは,国土の安全保障のために日本国の政治家は危機感をもって迅速に動くべきだと力説しており,同感です。自由民主党も保守政党を標榜するのであれば,少しは危機感というものをもったらどうでしょうか。
以前このブログでもご紹介しましたが,「目に見えぬ侵略-中国のオーストラリア支配計画」(クライブ・ハミルトン著,山岡鉄秀[監訳],奥山真司[訳],飛鳥新社)という本はとても良書ですよ。これは中国共産党による密かな(時に露骨な)政治工作,世界侵略の一端を垣間見せる本ですが,我が国においても中国企業や中国人による土地買い漁りについて,一定のそして有効な規制をするべきでしょう。
11月だというのに気温が高く,夏日を記録する地域もあります。私は一年のうちで一番好きな季節が秋なのに,最近秋が短くなったなあというのが実感です。みなさんはそうお感じにはなられませんか。意外に暑いなと感じながら過ごしつつ,突如として寒い冬を迎えるという感じなんですよね。要するに大好きな秋が短い。
さてさて,机上のパソコンには相変わらず詐欺メールが引きも切らずに届いております。当然のことながら「迷惑メール」に分類されてくるのですが,本当に迷惑です。メガバンクやカード会社を騙ったものや,大手通販会社(eコマース)を騙ったもの,そして最近ではやたらETCカードの有効期限がらみのものが目立ちます。
お金というものは額に汗して稼ぐものなのです。人を騙して金を取るなど不届き千万!恥を知れ!と言いたいのですよ。今朝の産経新聞には,特別記者の石井聡さんの「論争を撃つ」というコラムが掲載されており,その冒頭次のような記載がありました。
「ひと月余り前のこと、表題に『重要』と付いたメールを開くと、ETCカードの有効期限がうんぬん-と記載があった。指示通りに登録更新をしたところ、翌日、クレジットカード会社から『不審な取引を見つけたので取引を凍結した』との知らせが来た。更新手続きの際に『おかしいな』と思いつつ、カード情報を入力してしまったのが悪かった。おそらく10万円近くの不正使用が防げたのは幸いだったものの、カードの再発行で番号が変わるため、種々の引き落としが滞る面倒な事態を招いた。」
少しでも「おかしいな」と思ったなら,立ち止まって中止すべきだと思うのですが(笑),引っ込みがつかず前に進んでしまったのですね。私はそんないかがわしいメールで流されたURLなど絶対にクリック等しないように心がけております。それにしても,例えば今回のETCカード更新がらみの詐欺メールは私の所にも毎日のように届いておりますし,警察サイドとしては,発信元を特定した上で,このようなならず者,悪党どもを一網打尽にはできないのでしょうか。ご多忙とは存じますが,何卒よろしく願いたします。
私はかつて刑事弁護でいわゆる児童ポルノ事件を担当したこともありましたが,この分野では特にサイバーパトロールというものが充実しています。特定のキーワード(例えば「援交」,「パパ活」など)で検索し,SNSなどで「集客」メールを送信している18歳未満の女子をまずは補導し,その所持しているスマホから「顧客」を割り出して逮捕するというスタイルの捜査方法です。
警察も事件処理で多忙なのでしょうが,本腰を入れて,詐欺メールを引きも切らず送信してくるならず者,悪党を一網打尽にしてもらいたいものです。
みなさん既にご承知のとおり,日本政府が福島第1原発の処理水の放出を決定,実行したことに対し,中国共産党や一部中国人が極めてエキセントリックな対応をしています。中国政府は日本からの水産物の輸入を全面禁止とする暴挙に及んでいますし,一部中国人は上海などの日本人学校に投石したり,卵を投げ入れたり,さらには日本大使館にレンガを投げ入れたりしていますし,テレビでも報道されているように日本の飲食店その他の施設,事務所などに極めて多くの嫌がらせ電話をかけ,「バカヤロー」などといった暴言を浴びせたりもしています。
このような違法な事態について中国共産党の報道官は,「このような事態になったのは日本政府に責任がある。」などと的外れなコメントをし,このような一部中国人による違法,不穏当な言動を制止しようともしません。尖閣諸島の国有化などの際には,中国に進出した企業も放火されたり,略奪されたり,投石されたり,酷い目に遭ったのですが,規模は異なりますが今回もそれに似たような状況です。
よくよく考えてみますに,中国という国,中国人のこのような言動を見るにつけ,彼らは100年前と同じようなことを繰り返していますね。変わっていません。はっきり申し上げて民度が低い。義和団事変の時の乱暴狼藉のミニチュア版のようでもありますし,現在の中国共産党による情報遮断の下(つまり中国共産党に都合の悪い情報は人民から遮断し,虚偽情報のプロパガンダのみ流布する),間違った情報や思い込みで軽率な行動に及ぶという意味では,まるで魯迅の「阿Q正伝」に登場する阿Qの集合体のようでもあります。また,約90年前,中国で副領事(外交官)として勤務したラルフ・タウンゼントが自己の生々しい体験に基づき,中国文化を厳しく指弾した「暗黒大陸-中国の真実」(芙蓉書房出版)という本で述べられた当時の中国の状況と基本的には変わっていないような・・・(笑)。
そもそも日本政府の今回の処理水放出計画については,国際原子力機関(IAEA)も科学的見地からその妥当性を認めているのであり,がたがた騒いでいるのは中国そして韓国の一部野党だけで,国際的にも多くの国々がIAEAの見解を支持し,日本政府の今回の放出計画に理解を示しているのです。
他方,原子力専門書「中国核能年鑑」には中国の13の原発から排水されたトリチウムなどの放射性物質に関する17か所の観測データが記載されています。浙江省の秦山原発は2021年の1年間に「218兆ベクレル」を排水し,これは今回の処理水に関する日本の海洋放出計画が設ける年間上限「22兆ベクレル」の約10倍に当たります(笑)。
また,中国は,大気汚染問題,水質汚濁問題,土壌の重金属汚染問題,酸性雨問題,砂漠化問題など多くの環境問題を抱えていますし,食の安全という点でも,高毒農薬検出,農薬超過残留,禁止飼料添加物使用,動物用医薬品超過残留,抗生物質検出等が多く,農薬,動物用医薬品,添加物等の乱用,違法使用が顕著です。「ゴミ油」(下水溝等にたまった脂っこい浮遊物から抽出した油),赤身化剤肉(価格の高い赤身肉にするため出荷前に赤身化剤を使用した肉。呼吸困難を起こし,死亡することもある。),「注水肉」(重量増加のために水が注入された肉),「人毛醤油」(毛髪から抽出したアミノ酸で製造した醤油)などの悍ましい問題があります(論文「中国の食品安全問題」農林水産省上席研究官 河原昌一郎)。
にもかかわらず,中国共産党の報道官は,今回の日本からの水産物輸入全面禁止措置の目的について,「(中国人民の)食の安全を守るため」などと正に噴飯物の弁解をしております。一体全体,どの口が言うねん(笑)。
今回の中国共産党の理不尽な措置の本当の目的は,①日本政府が米国と歩調を合わせて実施した先端半導体製造装置の輸出規制(先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の規制対象に加えた)を撤廃させるためのカードとして利用すること,②もう既に明らかになっている中国経済の減速(GDP成長率低下,不動産バブルの崩壊,デフレ経済への突入,不況,貧富の格差,極めて高い失業率など)に伴う民衆の不満の矛先を対外的な問題へ逸らせることにあるのではないかと思っております。
いずれにしても,今回の措置,その理由,乱暴狼藉などからすれば,正に「厚顔無恥」と表現するのがピッタリです。厚顔無恥という言葉の意味を国語辞典で調べますと,「厚かましく、恥知らずなさま。他人の迷惑などかまわずに、自分の都合や思惑だけで行動すること。」ということのようです。
7月11日,最高裁判所は注目すべき判断を示しましたね。この事案は,戸籍上は男性だが性同一性障害で女性(トランスジェンダー女性)として生活する経済産業省の50代職員が勤務先の庁舎で女性用トイレの利用を制限しないよう求めて訴訟を提起した事案です。
このたびの最高裁判決の骨子は,①経済産業省による性同一性障害の職員のトイレ使用制限を是認した人事院判定は違法,②職員に自認とは異なる性別用か,離れたフロアのトイレしか使えない日常的な不利益を甘受させる具体的事情はない,③使用制限は職員の具体的事情を踏まえず同僚らへの配慮を過度に重視しており,著しく妥当性を欠くというものです。
おいおい,それならば生物学的には男性だが性自認としては女性だという人は,何らの制限もなく自由に女性トイレを使用してもよいのか,となっちゃいそうですが,そういうことではありません。裁判例には必ず「射程距離」というものがありまして,結論だけを一般化することはできず,あくまでもそのような判断がなされた具体的な理由,証拠によって認定された個別具体的な事情が前提となっているのです。
今回の最高裁の判決の中でも触れられていますように,今回の判断は「不特定多数が利用する公共施設などを想定した判断ではない」とされていますし,個別具体的な事情が前提となっております。例えば,この職員は性同一性障害の診断を受け,ただ健康上の理由で戸籍変更に必要な性別適合手術を受けていなかったこと,女性ホルモンの投与を受けていたこと,性衝動に基づく性暴力の可能性は低いとの医師の診断がなされていることなどといった事情があったのです。
ただ私は,今回の最高裁の判断内容に賛成できない部分が少なからずあります。例えば,さきほど骨子の3番目として挙げた「同僚らへの配慮を過度に重視しており,著しく妥当性を欠く」と言い切ってよいのかという疑問です。率直に言いますと,顔見知りのトランス女性と職場のトイレを共用することを嫌がる女性職員も,事実として多いのではないでしょうか。また,判決文を読みますと,経産省が今回の使用制限措置(勤務するフロアから2階以上離れたトイレを使用すること)を実施するに当たって開かれた説明会では,当局職員が受けた印象として,(同フロアの女性用トイレを共用することにつき)女性職員が「違和感を抱いていたように見えた」といった供述もあります。
要するに実際に声には出さない(出せない)ものの,女性職員が羞恥を覚え,違和感を抱くといった「声なき声」は厳然として存在するのだと思います。そのような本音を声にして言い出すことができない,自分の本音とは相反する周りの漠然とした同調圧力の存在・・・。それなのに,経産省の今回の使用制限措置(勤務するフロアから2階以上離れたトイレを使用すること)が,果たして「同僚らへの配慮を過度に重視しており,著しく妥当性を欠く」ものと言い切ってよいのでしょうか。確かに,勤務するフロアから2階以上離れたトイレを使用することというのは当該職員には一定の不利益,不自由を強いることにはなりますが,職場となる経産省が定めた今回の措置は,女性トイレを使う他の女性職員らに対する配慮と,当該職員(原告,被控訴人,上告人)が自認する性に即した社会生活を送る法的な利益との調和を図る苦肉の策として許容されるべきものだったのではないかと思うのです。少なくとも,職場の措置,そして人事院判定については,「著しく妥当性を欠く」,「違法」とまでは言えないでしょう。
「大衆の狂気―ジェンダー 人種 アイデンティティ」(ダグラス・マレー著,山田美明訳,徳間書店)という本は誠に素晴らしいノンフィクション本ですが,是非一読をお勧めします。読んで損はありません。
最近の私,ルイボスティーという飲み物にはまっております。抗酸化力が強く,亜鉛などのミネラルも豊富で,育毛にも効果があると言われているからです(笑)。
そのお気に入りのルイボスティーを飲みながらネットの記事を読んでいて,思わず噴き出しそうになりました。あまりの馬鹿馬鹿しさに噴き出しそうになった直後に,今度は怒りと情けなさで一杯になったのです。
どうやら政府・与党は,0~2歳児がいる家庭に一定額のクーポンを支給する事業を始める方針を固めたというのです(毎日新聞の報道によりますと,自治体が育児用品や子育て支援サービスを用意し,各家庭の希望に応じて1人当たり10万円分のクーポンと引き換える制度のようです。)。その背景として説明されているのは,我が国においては想定を上回るペースで少子化が加速しており,将来不安等から「産み控え」が起きているんだそうです。
でも皆さん,考えてもみてください。一過的に10万円のクーポンをもらったからといって,「じゃあ,産みます。」となるんでしょうか(爆笑)。仮に「産み控え」の実態があるとして,この10万円のクーポンでそれが解消されるとでもいうのでしょうか。それこそ典型的な弥縫策としか言いようがありません。
少子化の原因としては様々な指摘がありますが,特に1990年代の末から4半世紀近くも続いているデフレ,ほぼ横ばいの経済成長,賃金抑制などにより,何よりも結婚年齢に達した人たちが低賃金に喘ぎ,将来不安から結婚そのものそして結婚したとしても子作りを躊躇しているという由々しき現状が背景にあることは間違いないでしょう。
私が口に含んだルイボスティーを馬鹿馬鹿しさのあまり噴き出しそうになり,直後に怒りさえ覚えたのは,政治家ならもっと危機感をもって本腰を入れて少子化対策を推進しろ!ということなのです。能天気な政治家は,少子化で労働人口が減少して人手不足なら,外国から大量に移民を入れればよいではないかと安易に考えているのでしょうね。でもそうなれば,外国人労働者の激増によりますます賃金押し下げ圧力が強くなり,日本人の妙齢の男女の賃金が下がるか抑制されたままになり,ひいては結婚そのものや子作りを躊躇し,合計特殊出生率が低下していきます。そんな10万円のクーポンみたいな弥縫策ではなくて,ここはひとつ機能的財政の観点から大規模な財政出動や減税を躊躇せず,まずは果断にデフレを脱却し,賃金を上げ,若い男女に明るい将来を期待させるような環境作りをしましょうよ。本当に。
少し話題が逸れますが,ひょっとしてと思ったら,公明党の山口那津男代表が10月14日,首相官邸で岸田首相にクーポン支給を要請したとはっきり報道されています。案の定です(笑)。公明党という政党はいつもこうです。人気取り,刹那的な政策が大好きで,このような要請に対し,内閣支持率が30%を切ってしまった岸田内閣(不支持率は49%)が「(ちゃんと少子化対策や子育て支援を)やってます」感を出すために同調したなんてことでしょう。古代ローマ帝国の「パンとサーカス」(愚民化政策)を彷彿とさせます。政治家の劣化・・・。
本当に,少子化対策に本腰を入れないと大変なことになりますよ。
安倍晋三元首相が遊説中に凶弾に倒れ,鬼籍に入られました。あまりにも突然のことで未だに信じられませんが,現実は現実として受け止めざるを得ません。第二次安倍内閣が組閣される前,間近でご講演を拝聴する機会に恵まれましたが,第一次及び第二次安倍内閣がなし得た実績を通覧しても,安倍元首相が卓越した,そして傑出した政治家であったことは疑いようもありません。衷心よりご冥福をお祈りいたします。
やはり相当に喪失感というものがありますね。政治家の訃報に接して涙が出てきた経験というのは,平成21年10月に中川昭一元財務大臣の訃報に接した時と今回だけです。私は,中川昭一,安倍晋三各氏こそが確固とした国家観,歴史観,愛国心に基づいて自由民主党を引っ張っていかなければならない真のリーダーだと思っていましたからね。私は,最近ではひな壇芸人やタレントなどが多用されている本当にくだらない地デジなどの番組からは遠ざかっており,よくYouTubeなどで保守系の番組を見ておりますが,それらの番組の中で,例えば櫻井よしこさんや阿比留瑠比さんなども,安倍元首相のこのたびの無念の落命に言及する際には目を赤くされていました。
それでも安倍元首相は立派な業績を残されたと思います。積極果断というべき判断の下で可能な限りの成果をあげられたと思います。産経新聞の阿比留瑠比さんが新聞で指摘していましたが(7月9日付け朝刊),第一次安倍政権の時には,占領下に作られた教育基本法を戦後初めて改正し(教育内容こそ重要),防衛庁を省に昇格させ(防衛力強化の必要性),憲法改正に必要だが未整備だった国民投票法を制定しました(主権国家として最低限具備していなければならない条文の制定)。
第二次安倍政権以降は,経済政策「アベノミクス」で株価を上げて雇用を創出し,国家安全保障会議(NSC)を設置して政府の戦略的意思決定を迅速化し,さらに,集団的自衛権の限定的行使を容認する安全保障関連法を成立させ,特定秘密保護法も制定しました。首相退任後も,やはり日本を取り巻く安全保障環境に危機感を抱きつづけ,正当にも勇気をもって核兵器のシェアリングの議論,そして反撃能力(敵基地攻撃能力)の保持や,防衛力の抜本的強化・防衛予算の増額などで自民党内の議論をリードしてきました。
安倍元首相が政治家として国際的にも高く評価されていた事実は,このたびの諸外国からの弔問者数からも十分に窺えます。
これも産経新聞の阿比留瑠比さんが産経新聞で指摘していたことですが,安倍元首相は生前マックス・ウェーバーの次の言葉を引用していたということです。
「断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても『それにもかかわらず!』と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への『天職』を持つ」
こういった強い信念の下で政治家として活動していたからこそ,あのような立派な業績を残すことができたのでしょう。
「私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行つたら『日本』はなくなつてしまうのではないかといふ感を日ましに深くする。日本はなくなつて、その代はりに、無機的な、からつぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであらう。それでもいいと思つてゐる人たちと、私は口をきく気にもなれなくなつてゐるのである。」(三島由紀夫「果し得てゐない約束-私の中の二十五年」)
本当に,今後自由民主党内において,中川昭一さんや安倍晋三さんのようなちゃんとした政治家がリーダーにならないようでは,この日本も三島由紀夫が憂えた国に成り下がっていくのではないかと思っております。
最近「AI監獄 ウイグル」(ジェフリー・ケイン著,濱野大道訳,新潮社)という本を読みました。そのちょっと前には,「重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて」(サイラグル・サウトバイ,アレクサンドラ・カヴェーリウス著,秋山勝訳,草思社)という本を読み終えてもおります。そして,ごく最近ではサイバー攻撃によるものとはいえ,中国当局によるウイグル人弾圧の動かぬ証拠のごく一部が流出しました。アメリカが「ジェノサイド」認定をしているように,中国当局のいう「職業訓練センター」や「再教育センター」は,やはり「強制収容所」であり,拷問,洗脳,強制的不妊手術などが展開されているという恐ろしい現実があります。
中国共産党はこれを「デマ」などといって否定していますが,これらの本の著者や登場する生き証人の詳細かつ具体的,迫真の証言は,体験した者でなければ供述できない極めて信用性の高いものです。
イギリスのBBC放送などはこのような中国共産党によるウイグル人に対する人権蹂躙,弾圧について敢然と報道し,時には放送中に中国大使をやり込めたりしていますが,日本のマスコミや野党議員などはなぜ詳しく報道しなかったり,声を上げたりしないのでしょうか。あれほど普段「人権」に敏感であるかのような報道,政治的言動をしているにもかかわらず・・・。不思議です。
「AI監獄 ウイグル」(ジェフリー・ケイン著,濱野大道訳,新潮社)という本に書かれている「強制収容所」体験者の供述によれば,新疆ウイグル自治区内では特に夥しい数のカメラが至る所に設置され,精巧な顔認証システムと中国共産党の命令に従う監視員による厳重な監視が徹底され,もうウイグル人のプライバシーも何もあったものではありません。悲惨,深刻の一語に尽きます。
この本のエピローグの部分の「ガス室を使わない集団虐殺(ジェノサイド)」という章には,次のような一節があります。
「ウイグル族の出生率は急激に下がっている、とメイセムは指摘した。20世紀の暴君たちが利用したような悪名高いやり方はもう必要なかった。ガス室や集団墓地に人々を送ることなく、ゆっくりと巧妙に人々を殲滅させる。それが、21世紀版の政府の戦略だとメイセムやほかの多くの研究者たちは考えた。新疆の当局は長年にわたって、ウイグル族やそのほかの少数民族の女性にたいし、避妊、中絶や不妊手術、子宮内避妊器具(IUD)挿入のための医療処置を強制してきた。いま、その政策の効果がはっきりと現われはじめていた。」
「2021年1月19日、アメリカ国務省は強制的な不妊手術を引き合いに出し、新疆ウイグル自治区の〝状況〟を集団虐殺(ジェノサイド)だと宣した。『このジェノサイドは現在も続いており、われわれは、中国の一党制がウイグル族を組織的に破壊しようとする試みを目の当たりにしているとわたしは考える』とマイク・ポンペオ国務長官は声明の中で主張した。『中国当局は脆弱な少数宗教民族の強制的な同化と最終的な抹消を進めている。』この『ジェノサイド』の指定はより厳しい制裁へとつながり、欧米社会からの中国の孤立をさらに深める可能性があった。」
「レイプの報道が出てからおよそ3週間後の2月22日、カナダの議会は拘束力のない動議を可決し、ウイグル族の扱いをジェノサイドと認定した。」
日本のマスコミはなぜ報道しないのでしょうかね。それに,岸田首相は人権担当の首相補佐官に中谷元防衛相を起用しましたね。彼は一体全体どんな仕事をしているのでしょうか。中国当局の「内政干渉」だという暴言を真に受けてシュンとしているのでしょうか。中国当局が日本の閣僚等の靖国神社参拝に抗議することこそ内政干渉だと思いますのに・・・。
突然このような話題で恐縮ですが,ジェノサイドというのは,国家あるいは民族・人種集団を計画的に破壊することと定義されておりますし,ジェノサイド条約第2条によれば,国民的,民族的,人種的,宗教的な集団の全部または一部を破壊する意図をもって行われる行為のことをいいます。
アメリカは,現在中国の新疆ウイグル自治区で行われているウイグル族等に対する組織的な人権弾圧(本当のところは人権弾圧などといった表現も生易しいほどに極めて酷い状況)について,ジェノサイド認定をしています。2019年ころから,新疆ウイグル自治区でイスラム教徒であるウイグル人累計100万人ほどが,中国政府により「再教育施設」と呼ばれる施設に収容され,洗脳,虐待,強制不妊などが行われていると報道されました。2021年1月,アメリカのトランプ政権は,中国政府による新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル人の虐殺を国際条約上のジェノサイドであり,「人道に対する罪」に該当すると認定し,バイデン政権もこの決定を引き継ぐと発表しております。
実はね,最近,「重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて」(サイラグル・サウトバイ,アレクサンドラ・カヴェーリウス著,秋山勝訳,草思社)という本を読み終えたのです。サイラグルさんというカザフ人は実際にその「再教育施設」に収容され,次にもっと酷い施設に収容されるまでのごく短い期間に一旦釈放(とはいっても終日監視付き)された間隙を縫って,命からがら隣国カザフスタンへの脱出に成功し,現在は難民としてスウェーデンで家族とともに暮らしている生き証人です。
この本は,この生き証人の生の証言に基づいて出版されたものです。実際に収容された体験をした者でなければ供述することのできない,詳細かつ迫真性を持った証言であり,その信用性,証拠価値は極めて高いものと思われます。
これとは別に,中国政府は,動かぬ証拠を突き付けられた後にようやくその収容施設の存在を認めたものの,その施設はあくまでも「職業技能教育訓練センター」であると言い張っておりますが,まだ幼い人たちや80歳代後半の老婆まで職業訓練するのでしょうか。
実際にはウイグル人などがある日忽然と町から姿を消し,家族にはその行方すら知らされず,極めて劣悪な環境の下で,文化大革命の時に見られた自己批判闘争のようなことをさせられ,中国共産党の党歌を毎朝歌わされ,習近平を礼讃させられます。不十分な栄養,拷問,虐待,殺戮,性的暴行などなど,実際のところは「再教育」どころか,被収容者は死に至るか,廃人になるか,精神を病んでしまうしかありません。
新疆ウイグル自治区とはいっても,元々はこの地は東トルキスタンという立派な国だったのであり,チベットが受けたのと同様,中国共産党,人民解放軍によって「解放」と称した侵略がなされたのです。
2月4日からは北京冬季オリンピックが開催されておりますが,その国の一角で,現在進行形でジェノサイドが実際に展開されていることを思うと,果たしてこの国にオリンピック開催の資格があるのかという暗澹たる気持になります。明確な外交ボイコット,また事実上の外交ボイコットがなされてもおります。
「重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて」(サイラグル・サウトバイ,アレクサンドラ・カヴェーリウス著,秋山勝訳,草思社)という本は一読の価値は十分にありますよ。
12月3日の産経新聞のコラム「政治月旦」には,同紙の政治部次長酒井充氏が腹に落ちることを書かれていました。見出しには「曲がり角に来た自公連立」とあり,内容的には従来から私が感じていたことが記述されており,正に我が意を得たりです。
端的に言えば,自由民主党は公明党の選挙協力がなければ立ち行かないなどといった虚像に怯えることなく,そして公明党の意向に引きずられることなく国民のために信念を貫けというものです。正にそのとおりなのです。
自民党と公明党が平成11年10月に初めて連立政権を組んでからもう22年になりますが,公明党(創価学会)の選挙協力で議席を維持等するという旨味があったとしても,自民党の結党の精神,党是,そして政策面からすれば,公明党という存在はむしろブレーキになり続けてきたのではないか,そしてそういった体たらくが真正の保守層(私も含みます。)の不満としてくすぶり続けてきたのではないかと思うのです。
公明党は先の衆院選で,「未来応援給付」と称して所得制限を設けずに18歳以下に一律10万円相当を支給すると訴え,自民党に対してその実現をとても強く迫りました。結局は所得制限を設けることにはなりましたが,そもそも「未来応援給付」って何なのでしょうか。そんな発想が以前からあるのであれば,もっと早くから提唱し連立与党として強く主張すればよいのに,何で選挙前に突然言い出すのか。その辺りに,お金で国民(票)を釣るといった不純な動機とバラマキの発想が窺えるのです。
北朝鮮が日本を難なく射程に収める中距離弾道ミサイルを配備し(核弾頭も装着可能),中国やロシアが「パトロール」と称して日本列島を軍艦で一蹴して挑発し,極超音速ミサイルの開発に成功しつつあるのに,公明党はいわゆる「敵基地攻撃能力」の議論についても「昭和31年に提起された古めかしい議論の立て方だ」と述べ(山口代表),「敵基地攻撃能力」保有の議論に極めて消極的な態度を露わにしています。
また,公明党(創価学会)の親中的態度(傾向)は伝統的なものであり,例えば,時事通信社が運営するニュースサイト(時事ドットコム)では,次のように報道しています。
「自民党外交部会などは6月15日、中国を念頭に置いた新疆ウイグル自治区や香港などへの人権侵害に対する非難決議案を了承した。ただ、中国との関係を重視する公明党内で調整が進んでおらず、今国会での採択は見送られる方向だ。決議案は新疆ウイグル自治区などに加え、チベット、内モンゴル自治区、ミャンマーを例示し、『信教の自由への侵害、強制収監をはじめとする深刻な人権侵害が発生している』などと明記した。」
さらに,これまでの公明党の代表やその他の首脳部の発言内容からして,喫緊の課題である憲法9条の改正や緊急事態条項の新設などについては,公明党との連立がブレーキになってしまうことは火を見るよりも明らかでしょうね。このたびの衆院選で日本維新の会が議席を伸ばしましたが,少なくとも憲法改正というマターに関しては,むしろこういった勢力と連携した方が実現に近づくことも間違いないでしょう。自由民主党の結党時の「党の政綱」の中には,例えば「独立体制の整備」として,現行憲法の自主的改正,自衛軍備が列挙されています。公明との連立を維持していくことは,これらの実現という観点からはネックになってしまうでしょう。
このたびの衆院選では,公明党は32議席を獲得しましたが,このうち9議席は小選挙区における自民党との選挙協力によるものです。公明党候補者がよほどのスーパースターでもない限りは,やはり自民党の選挙協力がない以上この9議席は誕生しておらず,しょせん公明党は比例代表で23議席程度しか確保できない存在です。そういう政党に引きずられたままでよいのか。自民党の議席に関しても公明党(創価学会)の選挙協力なかりせば議席が減ることは必定であっても,そのように選挙協力(票)に依存したままでは自民党の将来,そして政党としての光明が見い出せないでしょう。
自由民主党は公明党の選挙協力がなければ立ち行かないなどといった虚像に怯えることなく,そして公明党の意向に引きずられることなく国民のために信念を貫けと言いたいですし,もうそろそろ連立政権の純化を図っていくべき時期に来ているのではないでしょうか。