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弁護士ブログ

2015/03/12

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  戦後70年ということで,今年は何かと厄介な中国や韓国が対日世論戦を激化させようとしていますし,現に激化させています。挙げ句に戦勝記念70周年として,各国の要人を招き,自らのチベット人大虐殺・弾圧(犠牲者は約120万人),ウイグル族虐殺・弾圧(東トルキスタンの強制的併合,60回以上の核実験による死者・疾病,射殺等によるジェノサイド),自国民の大虐殺(大躍進政策の失敗や文化大革命の狂乱騒動,第二次天安門事件などによる)を全く棚に上げて,グロテスクな大規模軍事パレードをするつもりのようです。でも,日本はそんなものに全く臆することなく,正々堂々と論陣を張るべきです。

 

 日本においては歴史というものについてはちゃんとヒストリー(史実)が語られていますが,中国のそれはプロパガンダ(政治的宣伝)に過ぎませんし,韓国に至ってはファンタジー(そうであって欲しいという願望)の域を出ません(笑)。

 

 悪質な中国のプロパガンダに対しては,評論家の櫻井よしこ氏が説くように「日本の最善の対処は中国の歴史を古代から現代に至るまでしっかりたどり、中国が直接間接に糾弾する『日本の歴史的蛮行』の数々が中国自身の伝統的行動に他ならないことを世界に発信すること」が肝要でしょう。彼らが言う『日本の歴史的蛮行』などといったものは事実無根で,捏造された数々の「蛮行」などは,実は中国の歴史書「資治通鑑」などに書かれている中国人自身の残虐なのです。

 

 中国共産党が一党独裁して導いている中国という国家の傲慢や増長は,とどまるところを知らないようです。確かに中国のGDP(国内総生産)は既にドルベースで日本の約2倍にはなりました。しかしその実態は,「張り子の虎」に過ぎません。

 

 「SAPIO2015年3月号」という雑誌の記事などによると,中国経済といっても未だに日本経済抜きには成り立たず,中国の製造業は日本企業の製品や技術が支えていると言っても過言ではありません。

 

 白物家電でトップクラスの世界シェアを誇る中国の家電メーカー・ハイアールの冷蔵庫を分解してみると,特に上位機種ほど,コンプレッサーなどの基幹部品はパナソニックなどの日本製が使用されています。最近では中国市場に数多くあった日本ブランドの家電製品,携帯電話の影が薄くなってはいますが,ハイアールやダイキンの例に見られるように,基幹部品や技術で多くの日本製が内臓されており,日本企業は「BtoB」に構造転換し,実際には日本こそが中国企業の躍進を下支えしています。

 

 自動車でも同じことが言え,サプライチェーンの上流部,付加価値の高い分野で日本企業の製品は大きな存在感を示していますし,中国で組み立てられるスマートフォン「iPhone6」は,その部品の半数が日本製で構成されているのです。日本の技術や精巧な部品がなければ中国経済は成り立ちません。日本の技術力は半端ではないのです。中国はWTOの国際的ルールに違反し,レアアース輸出規制をするなどしていくら日本に嫌がらせをしても,日本はあっという間に中国なんかのレアアースに依存しないで済む体制を技術的に整えてしまいました。

 

 源泉技術のない中国は,産業スパイやサイバー攻撃,はたまた最近物議をかもしているテロ対策法(技術企業に対して暗号化キーを中国政府に引き渡すことや,中国政府が情報収集するためのバックドアをシステムに設置することをそれぞれ強要する内容で,欧米から極めて強い批判を受けている)などといった姑息かつ露骨な手段で先進技術や情報を盗むしか手立てがないのです。

 

 こういうのを「張り子の虎」といいます。

2015/02/16

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 さて,この「権力の市場化」シリーズもいよいよ最終回を迎えました(笑)。前回は竹中平蔵という人物への言及がありましたが,それは,日本において着々と,そして徐々に進行している「権力の市場化」やレントシーキングという現象に触れる場合,かつての小泉内閣の時のオリックスの宮内義彦なる人物などととともに,この竹中という人物が思い浮かんでしまったからです。

 

 前回,「市場と権力」(佐々木実著,講談社)というノンフィクション本が竹中氏の実像に迫った力作だと申しましたが,その著者である佐々木実氏のインタビュー記事が「月刊日本」2月号に掲載されております。著者の佐々木実氏は特区法の成立と特区諮問会議の設置によって構造改革派が政策決定を牛耳る仕組みができあがってしまったと警鐘を鳴らしているのです。

 

 第二次安倍政権が発足した当初,安倍首相は竹中氏を経済財政諮問会議のメンバーに起用しようとしましたが,麻生太郎副総理らの反対で実現せず,産業競争力会議の民間議員に就きました。反対した麻生氏らは竹中氏の立ち位置,手法,人物に疑念を有していたに違いありません。

 

 ところが,竹中氏はまずは平成25年4月17日の産業競争力会議の「第1回国家戦略特区ワーキンググループ」を足がかりにし,自ら「立地競争力の強化に向けて」と題するペーパーを用意し,そこには「経済成長に直結する『アベノミクス戦略特区』の推進」の方針が打ち出され,これ以降は竹中氏ペースでどんどん特区構想が主導されていったのです。

 

 同年12月7日には国家戦略特区法が成立し,新たに特区諮問会議が重要政策会議に加わることになり,何と,竹中氏は特区諮問会議の民間議員に就任してしまったのです。麻生氏らに反対されてまずは産業競争力会議の民間議員からのスタートだった竹中氏は,産業競争力会議を拠点にして特区構想を進め,ついに経済財政諮問会議と同格の特区諮問会議の議員に就いた訳であり,巻き返しが成功した形です。

 

 特区諮問会議の今後の動きについては,担当省の大臣が反対しようが何しようが,会議で多数決を握ってしまえば,直接的に選挙の洗礼を受けず民主的な契機がない民間議員らが自らの所属する企業の商売がもっともっとやりやすくなるように政策決定ができてしまうということになりかねません。極論すれば,国益と企業益とが対立する場面で企業益の方を優先しかねない場面も当然に出てくるでしょう。

 

 竹中氏は慶應義塾大学教授という肩書きを有している一方で,大手人材派遣会社パソナグループの会長です。彼が主導する特区構想の中には「民間人材ビジネスの活用」が謳われていますが,利益誘導,利害相反と言われても仕方ないでしょう。オリックスの宮内義彦氏にはじまり,現在では楽天の三木谷浩史氏など,規制改革で利益を得る企業の代表が公然と規制改革に関わる重要会議のメンバーになることが当然のようになってしまいました。薬事法改正案の提出の際,99.8%の薬品のインターネット販売が解禁され,わずか0.2%の薬品が合理的な理由で規制を受けるのみであるにもかかわらず,楽天の三木谷会長は「時代錯誤もはなはだしい」などと毒づき,産業競争力会議の民間議員を辞任するぞ,国を訴えるぞといった趣旨のことを述べましたね。正に国益と企業益とが先鋭な形で対立している場面です・・・。このように薬品のネット販売の可否を議論する場に,あろうことかそれ(ネット販売)を生業とする会社のトップが産業競争力会議の民間議員として名を連ねていること自体,違和感を覚えるようでなければならないのです。

 

 このシリーズの最初の箇所でも述べましたように,「権力の市場化」という言葉の意味を説明するのはなかなか難しいのですが,イメージとしては,権力者に利益(金銭等の経済的利益もあれば,票などの政治的な利益もある)を供与することなどによって権力が事実上買われてしまい,ごくごく一部の強欲な人たちの目論見が政策等に反映されて彼らが超過利潤を獲得し,その反面最終的には国有財産や国民の利益が徐々に徐々に収奪されていく感じ・・・ではないかと思います。このような「権力の市場化」は中国やアメリカだけの現象ではなく,この日本でも生じていることに気づかなければならないでしょう。

2015/02/09

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 ここに「市場と権力」(佐々木実著,講談社)という本があります。平成25年4月30日に第1刷発行となっていますから,割と新しい本です。私の中では今のところ関岡英之,門田隆将といったノンフィクション作家をとても高く評価しているのですが,この本の著者もこれに加えてもいいかなと思いました。それぐらい読み応えがある本でした。

 

 この本には「『改革』に憑かれた経済学者の肖像」というサブタイトルが付されていますが,その「経済学者」とは竹中平蔵のことです(以下「竹中氏」)。前にもこのブログで触れたことがあるのですが,あの小泉内閣の時の「構造改革」や「郵政民営化」の本当の意味,そしてその内閣の閣僚として得意満面に大なたを振るっていた竹中氏の果たした役割と真の目的はいったい何だったのかという疑問を当時から私は抱いていたのですが,「平成経済20年史」(紺谷典子著,幻冬舎新書)という本とこの「市場と権力」という本の内容を読み,自分なりに何となく理解できたのです。腑に落ちたのであります。

 

 竹中氏が第二次安倍内閣で産業競争力会議の民間議員に登用されたこと,さらにはその後に国家戦略特区諮問会議の民間議員にも就任してしまったことに,私は危険性を感じてしまうのです。

 

 悪口ばかりになって読みづらいとは思いますが,私はまずはこの人物そのものが全然好きになれなくて・・・(笑)。竹中氏は昭和59年7月に「研究開発と設備投資の経済学 経済活力を支えるメカニズム」(東洋経済新報社)という本を出しているのですが,この本の価値を高め,そこで引用されている研究成果(エイベルの投資理論を日本経済に適用した実証研究)が鈴木和志(現.明治大学教授)という日本開発銀行の2年先輩との共同研究によるもので,しかもその鈴木は本を出すのなら連名でと予め希望を述べていたにもかかわらず,竹中氏は彼を出し抜く形で単名で出版してしまったのです。苦労して共同研究に励んだ鈴木和志がこの事実を知らされて非常なショックを受け,恩師(宇沢弘文)や同僚のいる前で思わず泣き出してしまったというエピソードが紹介されています(同書60頁)。

 

 また,実質的にはアメリカへの私的な長期出張に過ぎないのに,その費用を官房機密費から出させようと画策したこと(同書120頁),ある評論家の意見を自分の意見として取り込むために,「子どものころに親から聞かされた」という話をでっちあげたこと(同書322頁),在籍する慶應義塾大学の教授になかなかなれず,博士号(学位)を取得していなかったことがそのネックになっていたところ,人脈(佐貫利雄)を使って同大学の重鎮(加藤寛)に働き掛けて学位を得ようとしていたこと(同書104頁),大手住宅メーカーのミサワホームが竹中氏策定の不良債権処理策「竹中プラン」で結果的に産業再生機構入りとなり,トヨタ資本のテコ入れでトヨタ系列の住宅メーカーに生まれ変わった後にミサワホームの社長に就任したのが竹中氏の実兄である竹中宣雄であったことが物議をかもしたこと(同書311頁),などなど・・・。

 

 また長くなりますので突如として端折ってしまいますが(笑),小泉・竹中の「構造改革」や「郵政民営化」なるものは,日米構造協議や年次改革要望書等でアメリカから次から次に突きつけられる要求(要するにアメリカに市場を開き,グローバル企業の商売を日本でやりやすくすること)に唯々諾々と従って日本の国益を損なったことは間違いないと思うのです。そして,竹中氏という人物は徹底した新自由主義者であり,自らをラリー・サマーズ(前回のこのテーマのブログ記事をご参照ください)の友人と称していることからもわかるとおり,ケタは違いますものの,ウォール街の強欲投資銀行らの役員,多額の報酬をもらってその商売に迎合した「見識」を示す経済学者(こういうのを疑似科学というのでしょう),ロビイスト,「回転ドア」人事の当事者,政策を売るシンクタンク関係者らと同じ立ち位置にある方ではないかと思うのです。

2015/02/03

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 今朝の産経新聞を読んでいましたら,2008年の金融危機の一因になった住宅ローン担保証券(MBS)などを不当に高く格付けしていたとして,アメリカ司法省が大手格付け会社ムーディーズを調査しているという興味深い記事が出ていました。やはり最大手格付け会社のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は同様の嫌疑で既に提訴済みであるとのこと。

 

 突然ですが,「強欲の帝国-ウォール街に乗っ取られたアメリカ」(チャールズ・ファーガソン著,藤井清美訳,早川書房)という本は名著ですよ。凄い本だと思います。この本はリーマン・ショックを招いたウォール街の投資銀行をはじめとする強欲金融と投資家,役員,政治家らの悪事をえぐり出した本です。格付け会社に限って言えば,この本によれば「投資銀行業界の統合が進むにつれて、投資銀行が次第に主導権を握るようになり、格付け会社は喜んで従うようになった。投資銀行と格付け会社は、ともに腐敗し、駆け引きにまみれ、利己的な行動に走るようになった」のです(同書141~142頁)。

 

 ムーディーズが日本国債の格付けを中国や韓国より下位にしていますが,バカを言っちゃあいけません(笑)。わが日本国債は2年もの国債でもマイナス金利で「品薄」なのですよ。金余りの面はあるにしても,安定資産と評価されているのです。こんな格付け会社の格付けごときに一喜一憂するのはバカバカしい。

 

 さて,本題はいわゆるサブプライム・ローン問題からリーマン・ショックという金融危機を引き起こした背景には何があったのかです。この本を読んでいて痛感したのは,人間という動物はここまで強欲になれるものなのかといった驚きと悲しみです。強欲な投資銀行は,内心では「クズ証券」と思いながら,住宅ローン担保証券(MBS)そのもの,あるいはこれに他の商品を混ぜ込んで,あたかもこれが高利回り,安定資産であるとセールストークをしてさんざん売りまくり(その間は投資銀行の役員などは目が飛び出るほどの高額な報酬を得ています),だんだんとこのような証券のデフォルト(債務不履行)の危険性が高まる段階になると,相変わらずそのようなセールストークを続けて売りまくる一方で,今度は裏でこれらの証券(商品)がデフォルトする方に賭けて儲けるという極めて悪辣な手法をとり,案の定デフォルトしたらそれでまた儲けるということをやっていたのです。

 

 さて,権力の市場化という観点からは,ロバート・ルービン(投資銀行のゴールドマン・サックスの出身)が財務長官を辞任して今度はシティグループ(やはり投資銀行)の副会長になり,以後は10年間で1億2000万ドル以上の報酬を手にすることになりますし,政権内で国家経済会議委員長を務めたローラ・タイソンは政権を去ってまもなくモルガン・スタンレー(投資銀行)の取締役になり,財務省の高官マイケル・フロマンとデイビッド・リプトンの2人はシティグループに迎えられ・・・などなどです(同書59,63頁)。

 

 じゃ,「チェインジ!」を叫んで大統領に就任したバラク・オバマ政権で何かが変わったかというと,そうでもありません。

 

「(オバマ政権においても)それに対し、ラリー・サマーズは要職についた。金融危機を生み出したほぼすべての破滅的政策を推進した男、ヘッジファンドや投資銀行からつい先ごろ2000万ドルの報酬をもらった男が、国家経済会議の議長に任命されたのだ(2011年初めにサマーズが辞任すると、彼の後任に選ばれたのは、ゴールドマン・サックスの非営利活動について助言して同社から100万ドルのコンサルティング料をもらっていたジーン・スパーリングだった。)」(同書383~384頁)

 

 また,財務長官に任命されたティム・ガイトナーは,ゴールドマン・サックスのロビイストだったマーク・パターソンを財務省首席補佐官に据えましたし,トライカディアの責任者だったルイス・サックスを財務省上席顧問の一人にしました(トライカディアというのは,デフォルトに賭けることを目的に銀行に住宅ローン関連証券を組成させることで何十億ドルもの利益をあげたヘッジファンドの一つです)(同書384頁)

 

 ですから,オバマ政権においても病巣は何ら変わってはいないのでしょう。権力の市場化という観点からは,この本にまとめに近い記述がありましたので最後に引用してみましょう。

 

「アメリカは過去三〇年の間に道徳心のない金融寡占勢力に乗っ取られ、機会、教育、上昇移動というアメリカン・ドリームを享受できるのは、今では人口の上位数パーセントにほぼかぎられているということだ。連邦政府の政策は、富裕層と金融部門、それに電気通信、医療、自動車、エネルギーなどの(経営がひどくお粗末なことが珍しくないにもかかわらず)有力な産業によって、ますます決定されるようになっている。そして、これら三つの集団のために喜んで働く者たち、すなわちますますカネで動くようになっているアメリカの正当や学界やロビー業界のリーダーたちによって、実行され、称賛されているのである。」(同書9~10頁)

2015/01/30

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  突然に政治の話になりますが,小沢一郎という衆議院議員の晩節は,何と言いますか見苦しさと哀れさのみを感じてしまいます。美しさというものが全くないし,潔さも,本来政治家に備わっていてしかるべき見識というものも全く感じることができません。

 

 この人の政治家としての足跡をたどりますと,自由民主党佐藤派→同田中派→同竹下派→同羽田派→新生党→新進党→自由党→民主党→国民の生活が第一→日本未来の党→生活の党→「生活の党と山本太郎となかまたち」となります。

 

 最後は「生活の党と山本太郎となかまたち」ですって・・・。少し恥ずかしい(笑)。いくら政党要件を欠いてしまったからといって,そしていくら政党交付金が欲しいからといって,山本太郎となかまたちなどといった訳の分からない名前にしたり,少し頭がおかしいとしか思えない人と一緒になったり・・・(笑)。

 

 この小沢一郎という人は,佐藤栄作,田中角栄その他,政治家としての大先輩から何を学んだというのでしょうか。昭和44年に初当選して以来,46年間にわたる政治家としてのキャリアがありながら,最後はこれですか。はっきり申し上げて,政治家としての背骨,定見,しっかりとした国家観がなかったのでしょうね。というのも,民主党が政権を奪取した時は国民に迎合的なバラマキ政策がマニフェストの中心でしたし,日本未来の党の時には脱原発をほとんどシングルイシュー的に標榜していました。そして国民の生活が第一の時もやはり国民に迎合的なバラマキ政策です。要するに,政治家としての確固とした信念,政策というものがなく,最近の小沢一郎という人の行動原理は,「今は何が国民受けするんだろうか」という観点だけだったような気がします。今でも許し難く記憶しているのは,民主党政権時代,習近平なるものの天皇陛下ご引見をごり押ししたり,国会議員などを何百人も引き連れて当時の胡錦涛と卑屈な握手をしたりしていたことです。

 

 いずれにしても,この人は晩節を汚しましたね。

2015/01/28

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 さて,権力の市場化という現象をアメリカという国に当てはめてみた場合,そのキーワードになるのは,「回転ドア人事」と「ロビー活動」でしょう。

 

 「回転ドア人事」というのは,企業内部の人間を政府部内に送り込んで「本籍」の業界利益を最大化させるような政策決定に関与させ,これがまんまと成功した後に「本籍」の企業や関連企業に好待遇で戻すという人事の形態をいいます。

 

 例えば,1999年,世界最大の投資銀行ゴールドマン・サックスからホワイトハウス入りしたルービン財務長官と後任のサマーズ財務長官はクリントン大統領の背中を押し,グラス・スティーガル法(預金を受け入れる商業銀行が証券業務にのめり込んだことが大恐慌の一因にもなった反省から,銀行業と証券業を分離すること)を廃止する「金融近代化法」に署名させました。投資銀行の役員が政府の政策決定に関与し,これによって巨大な投資銀行のやりたい放題の状況になり,あのリーマンショックへと向かうことになります。

 

 イラク戦争が開始された時はブッシュ政権でしたが,その副大統領はチェイニーでした。そのチェイニーは政権入りする前は軍事サービス会社「ハリバートン」の最高経営責任者として高額の報酬を得ていました。チェイニーが政府部内に入ってからは「ハリバートン」が戦争地域での兵士の食糧提供や戦争で破壊されたイラクの復興事業などで巨額の受注を得ることになりました。

 

 今はオバマ大統領ですが,この大統領は現実にはあまり大した実績を挙げていません。このままオバマ政権はレームダック化していくでしょうが,いわゆる「オバマケア」という国民皆保険制度も何ともひどいことになっております。詳細は,「沈みゆく大国 アメリカ」(堤未果著,集英社新書)をお読みください。これは200ページくらいの新書ですが,大変読みやすく,アメリカにおける権力の市場化の酷さがよく理解できます。

 

 この「オバマケア」で幸福になったのはアメリカ国民ではなく,幸福になり高笑いしたのは(この本では「笑いが止まらない人々」と表現されています),保険会社,製薬会社,ウォール街(金融,超・富裕層)の3者であると喝破されています。この「オバマケア」でも「回転ドア人事」がフル回転です。先にお勧めした本からちょっと引用してみましょうね。

 

「2001年。全米最大の保険会社ウェルポイント社の社員だったリズ・フォウラーの最初の任務は、ドアをくぐって医療関係法管轄の上院金融委員会にもぐりこみ、メディケア処方薬法改正の設計に関わることだった。同法は二年後に成立し、政府からメディケアの薬価交渉権を奪い、処方薬部分に民間保険会社が入り込む隙間を作ることに成功する。仕事を終えて政府を去ったフォウラーには、ウェルポイント社のロビイング部門副社長の席が与えられた。数年後、前回よりはるかに規模が大きい任務を果たすため、フォウラーは再び回転ドアをくぐると、今度は上院金融委員会の、マックス・ボーカス委員長直属の部下となる。〈オバマケア〉法案の骨子を設計するために。彼女は手始めに、医療・製薬業界にとっての最大の障害である〈単一支払い医療制度(シングルペイヤー)〉案を、法案から丁寧に取り除いた。日本やカナダのようなこの方式を入れたら最後、医療・製薬業界が巨大な利益を得られるビジネスモデルが一気に崩れてしまう。法案骨子が完成すると、フォウラーは次に保健福祉省副長官に栄転し、オバマケアにおける保険会社と加入者側それぞれの利益調整業務を任される。(中略)だがホワイトハウスでのこうした賛辞は、彼女がその後手にした報酬とは比べ物にならないだろう。元の業界へと続く回転ドアを再びくぐったフォウラーを待っていたのは、最大大手製薬会社の一つであるジョンソン&ジョンソン社の政府・政策担当重役の椅子だった。ウェルポイント社の株価が、その後ロケット級に上昇したことは言うまでもない。」(同書151~153頁)

 

 まあ,こんな感じです。あと,「ロビー活動」については言うまでもありませんね。企業は自社の利益の最大化を図るために,元議員の事務所主任,元議会委員会委員,元政府職員などを金に糸目を付けずにロビイストとして多数雇い入れ,絶えず政府や政策決定機関に精力的な働きかけを行っているのです。

2015/01/22

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 私がはじめて「権力の市場化」という言葉に接したのは,「中国現代化の落とし穴-噴火口上の中国」(何清漣著,坂井臣之助・中川友訳,草思社)という名著を読んだ時です。

 

 「権力の市場化」という言葉の意味を説明するのはなかなか難しいのですが,イメージとしては次のようなものだと思います。つまり,権力者に利益(金銭等の経済的利益もあれば,票などの政治的な利益もある)を供与することなどによって権力が事実上買われてしまい,ごくごく一部の強欲な人たちの目論見が政策等に反映されて彼らが超過利潤を獲得し,その反面最終的には国有財産や国民の利益が徐々に徐々に収奪されていく感じ・・・。こんなイメージではないかと思います。

 

 中国の「改革開放路線」が始まった1978年以降,実はこの国における「権力の市場化」は凄まじく,それはそれは途方もない富の偏在など悲惨な状況になっております。しかし,しかしですよ・・・,中国ほど露骨ではないにしても,アメリカにおける「権力の市場化」もまことに凄まじく,さらには最近ではこの日本でも,規模は違えどアメリカでの「権力の市場化」に追随するかのような由々しき事態が生じる現実的な危険性もあるのです。

 

 そんな訳でこの「権力の市場化」というものに少し興味を抱いたものですから,これから5回シリーズで(笑),ほんの少しばかり書いてみたいと思います。

 

 いやはや中国は露骨です(笑)。権力に群がる関係者は特に恥というものを知りません。「改革開放路線」以降,そして鄧小平の「南巡講話」,そして「先富論」が出されてからは輪をかけて,もの凄い勢いで権力が金で買われ,国有財産の収奪が起こりました。

 

 「二重価格制」,「経営請負責任制」,「株式制改造」,「開発区用地囲い込み運動」などによって,中国共産党中央,地方政府の役人,その家族,その経営する企業などがこれでもかと国有財産を収奪し,超過利潤など富を蓄積していったのです。マルクス経済学では「資本の原始的蓄積」は普通の資本主義の発展過程で展開されていくものなのに,そこは中国,とんでもない方法で「資本の原始的蓄積」がなされてしまったのです。おかげで現在の中国におけるジニ係数は0.62(これは暴動が起こるレベル)に達しているとの調査結果もあるくらいです。

 

 冒頭に挙げた本は名著です。こういった経緯について数字とともに説得的に説明されています。最後に,この本の序章の部分から少し引用しておきましょう。

 

「これらの学者が関心をもつのは、この二〇年余りの『改革』でどの部分の人間が利益を得たのか、かれらはどのような手段で利益を獲得したのか、他の階層の利益が損なわれた基礎のうえにかれらの利益が築かれたのかどうか、大多数の庶民は二〇年余りの『改革』がつくりあげた新たな社会の階段でどのような位置にあるのかである。これらの学者によれば、中国の改革は『権力の市場化』を起点とし、権力の私有化を特徴としており、改革のために代価を支払ったのは総人口の八割以上を占める社会の底辺層の人民で、『改革の成果』を享受したのは少数の権力階層だけだった。」(同書15頁)。

2014/12/17

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 「爆弾低気圧」だなんで表現されておりますが,本当に寒くなりましたし,北海道やその他の日本海側の降雪量が心配です。また,年末にかけて私もやることがいっぱいで,とても忙しい状態です。風邪などひかずに何とか乗り切りたいと思います。

 

 さて,第47回衆議院議員選挙が終わりましたね。公示から投票までの間,私もこのブログでは完全に沈黙し,大人しくしておりました。めったなことを書いて,公職選挙法違反で逮捕されてもいけませんからね(笑)。

 

 マスコミの事前の予測結果があまりにもすごいので,私も自民党が317を超えるのではないか,ようやく公明党と縁を切ることができるのか,懸案の憲法改正についてはとにかく手続規定の96条だけでも改正できるんじゃないかなどと密かに期待していたのですが,さすがにそれはかないませんでした。

 

 毎日新聞やその他の反日マスコミなどは,投票率が低いから安倍内閣は決して信任された訳ではないなどと負け惜しみを言っておりますが,本気で今の政治がダメだと思っているのなら,投票しますもの。基本的には安倍内閣の仕事は有権者から一応の評価を受けているのではないでしょうか。

 

 少なくとも例の3年3か月にわたった民主党の失政,閉塞状況,政権担当能力のなさについて,有権者は今でも決して許してはいなかったということだけは言えますね(笑)。本当に「まるで異民族に支配されていたかのような」悪夢の時代でしたからね(産経新聞の阿比留記者の言葉)。

 

 また,維新の党の共同代表をやっている江田という人の演説には「(自民党の)一党独裁を許してはいけない」という表現がありました。本当にバカなことを言っています。思わず食べていたミカンの汁が口からこぼれてしまいました(笑)。一党独裁というのは中国共産党のような存在,政治システムのことを言うのです。中国人民には選挙権というものがありませんから,いつまでたっても制度的に中国共産党という悪の存在が蔓延り,一党独裁となっているのです。

 

 一方,日本は表現の自由も,選挙権もあります。時の政権を倒そうと思えば投票行動でいつでも倒せるのです。江田という人が「一党独裁」などとバカなことを言ってはいますが,制度的に政権を担う機会が保障されているのに,自分たちが不甲斐ないからそれができないでいるだけで,制度に問題がある訳ではありません。要するに自分たちの能力不足の結果を「一党独裁」と言っているだけなのです。

 

 さて,次世代の党の立候補者には本当に政治家として高い識見と,確たる国家観と愛国心を有している立派な方々が多くいらしたのに,2議席しか獲得できなかったのは非常に残念です。次世代の党の政策は多くの部分で自民党のそれと一致しているのですが,私がふと感じましたのは,少なからぬ有権者が内心では次世代の党の政策に共鳴しつつも,自分が投ずる票が結果として「死票」となってしまうことを恐れ,結局は自民党に投票してしまう傾向があるのではないかということです。いっそのこと,平沼赳夫先生も,そして今回落選した立派な候補者(中山成彬,三宅博,山田宏などなど)も自民党に入って政治活動をすればよいのにと思います。

2014/11/28

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  何かにつけてこの11月というのは,消費増税の可否について政府レベルでも,そして私たち庶民のレベルでも議論されましたね。

 

 まだデフレ脱却とは到底言えない時期に税率を8%に上げてしまい(今年の4月),物の見事にデフレ脱却,景気回復の腰折れ要因となり,7~9月期のGDP第一次速報値でも2四半期連続のマイナスとなってしまいました。4月の増税に当たっては,財務省の走狗となった学者やエコノミストなどは増税のダメージはそれほどではなく(「傷は浅いぞ,しっかりしろ!」というやつです),V字型回復が十分に可能,などと国民をミスリードしておりました。

 

 安倍総理はこのたび何とか10%への消費増税を従前の時期から延期することを決定しましたが,それでも政府主催の集中点検会合では極めて多数の学者やエコノミストらが予定どおりの10%への増税に賛成意見を述べていました。本当にどういうつもりなんでしょう。1997年の橋本内閣がやった消費増税(3%→5%)が招来してしまった結果,つまり,長期デフレへの突入,税収減という失敗については頬被りを決め込んでいます。

 

 産経新聞社特別記者・編集委員兼論説委員の田村秀男さん(この方はいつもながら素晴らしい論考を展開しておられます)のコメントによれば,1997年の3%から5%への消費増税以降,2013年までの17年間の合計で,消費税収は68兆円増えたものの,増税後のデフレとともに消費税収を除く税収は163兆円も減っているのです。名目GDPが増えなければ税収も増えませんから,この結果は当たり前ですし,この景気後退局面でもさらに10%への消費増税をせよといった意見を述べる学者さんたちは,こういった過去のデータ,事象を踏まえた上で仰っているのでしょうか。

 

 中には,消費増税は国際公約だからとか,予定どおり上げないと国際的な円の信認が低下するとか,このままだと財政破綻するとか言っていますが,説得力というものがありません。普通に考えれば,急がば回れで,まずはデフレを脱却し,需要を作って,名目GDPを増加させて税収増を図るという発想になるのではないでしょうか。さきほど述べましたように,僅か1,2年の目先のことを考えれば確かに消費増税による一時的な消費税収増はあっても,長いスパンで考えればデフレの結果,消費税以外の税収が大幅に減少してしまうのです。

 

 特に,「財政破綻」論に関してですが,評論家の中野剛志さんが指摘するように,そもそも財務省は,平成14年4月,日本国債を格下げした格付け会社3社に対して書簡を発出し,「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとしていかなる事態を想定しているのか」などと抗議し,財務省自体が日本の財政破綻はあり得ないと正論をぶっていたではありませんか。そのこと自体は正しく,日本の国債はすべて円建てで,円の通貨発行権は日本政府にあるのですから,日本政府が債務不履行(デフォルト)に陥ることはあり得ません。

 

 さきほどの政府主催の集中点検会合のメンバー選定は財務省が暗躍し,原案では消費増税積極論者がほとんどで,昨年の会合で反対を唱えた学者やエコノミストらは全員外されていたそうです(笑)。本当に姑息で卑怯極まりない。さすがに安倍首相も消費税率を上げたいばかりの財務省のその案を見て激怒したと伝えられています。

 

 裏を返せば,現在の経済状況や経済指標(数値)にもかかわらず積極意見を述べるような学者は,やはり財務省の走狗であり御用学者なんでしょうね。敢えて名前などは挙げませんが,東大にも財務省ご贔屓の御用学者が少なからずおられますね(笑)。あっ,名前を思わず言いそうになっちゃった(笑)。御用学者とは,時の政府・権力者などに迎合して,それに都合のよい説を唱える学者のことを指すようです。

 

 あー,疲れた。それにしても,タイ古式マッサージは本当に素晴らしい・・・。生き返ります。

2014/11/20

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 いよいよ衆議院の解散,総選挙ですか。「大義がない」とか「何が争点か」などと言われておりますが,やはりアベノミクスのこれまでの評価と消費増税のタイミングなどが,投票行動を決める一つの要素となることは間違いないでしょうね。

 

 アベノミクスのそもそもの出発点であり,大きな目標となっていたのが病理現象であるデフレ経済からの脱却でした。何と言ってもデフレから脱却しなければならないことは言うまでもありません。その意味ではアベノミクスの第1の矢と第2の矢は基本的な方向性としては正しいのだと思います。でも私は,はっきり申し上げると,この4月の消費増税(8%)の時期はタイミングとしては誤りだったと思います。デフレ脱却そのものが完全に腰折れになってしまいました。まだデフレを脱却などしていないのに消費増税したのは,正に失政だったと言わざるを得ません。これでは1997年4月の橋本龍太郎政権当時の消費増税後の長きにわたるデフレ突入の二の舞になってしまいます。

 

 内閣府が11月17日に発表した7~9月期の国内総生産(GDP)第一次速報値によれば,実質成長率は前期比年換算で2四半期続けてマイナスでした。4月の消費増税をはやし立てた財務省や御用学者やエコノミストらは,消費増税のマイナス効果を過小評価し,V字型の回復を吹聴していたのですが,V字型回復どころか2四半期連続のマイナス成長です。データ的にも実質賃金が上がっておらず,消費が冷え込み,明らかに景気後退局面を迎えています。それでもさらに10%に上げろという人々は何を考えているのでしょうか。

 

 最近,年齢のせいか朝のお目覚めの時間帯が早くなり(笑),寝ぼけ眼でテレビを見ていましたら,このところの円安で,確かに輸出大手企業はホクホク顔でしょうが,内需型企業は原材料コスト上昇に悩まされ,企業の破産申立件数が前年同期の2.4倍に達しているという恐ろしい情報を流しておりました。円安は株高を招き,株価が上がってまず喜ぶのが富裕層でしょう。でも,かねてから私が感じておりましたのは,中小企業の従業員の賃金が上昇していないのは経済政策としてはダメだということです。

 

 「トリクルダウン」などといいますが,これは「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる(トリクルダウンする)」という経済理論で,新自由主義の代表的な主張の一つですが,現実にはあまり説得力がないようです。それよりもむしろ,政治経済学者のロバート・B・ライシュが述べるように,一部の富裕層が消費するより,分厚い中間層が消費する方が消費規模は拡大するのではないでしょうか。大企業の従業員もさることながら,分厚い消費層である中小企業の従業員の実質賃金が上がるような経済政策をやりましょうよ,安倍首相。

 

 外交や安全保障,教育,歴史認識などに関してはやはり安倍晋三という人は余人を以て代え難い逸材だと思っており,大いに期待しているのですが,とにかくデフレ脱却のための有効な方法論を確立して欲しい。第3の矢などは,完全にサプライサイドの政策で,しかも竹中平蔵などといった政商まがいの民間議員を重用しているのは解せません。デフレギャップがあるからデフレなのに,さらに供給(サプライサイド)なんでしょうか?むしろ需要を作らなければ・・・。その需要減退要因の一つが消費増税でしょう。消費税率を10%程度まで上げることに異存はありませんが,今はまだその時期ではありませんし,この4月の消費増税も明らかにデフレ脱却の腰折れとなってしまったのです。

 

 それに・・・,それに・・・,安倍首相は今度は「(消費増税を)再び延期することはない」,「景気判断条項を今度は付けない」とまで言い切ってしまいました。そうすると,2017年の4月にはその時の経済状況がどうあろうと絶対に消費増税をするぞ!と言っているに等しい訳です。そうすると,今回の一連の流れからすると,最終的に勝ち鬨を上げているのは財務省かもしれません。

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