個人
成年後見
成年後見制度とは!
☆成年後見制度とは、判断能力の不十分な成年者(認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など)を保護する目的で、そのような方々の生活全般にわたって必要な意思決定を代行、支援する制度です。この成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。
成年後見の2つの制度
■法定後見制度この法定後見制度は、既に精神上の障害などがあって、その判断能力が全くないかあるいは不十分な場合に利用されます。そして、法定後見制度の中にも、判断能力の不十分な程度に応じて、後見、保佐、補助の3つの類型が設けられています。
【後見】
精神上の障害などにより、日常的に判断能力を欠く状況にあり、自分で判断して法律行為をすることができない人を対象としています。この場合は、後見人が選任され、後見人には、本人(後見される人)のために行使される幅広い代理権と取消権が与えられます。
【保佐】
精神上の障害などにより、判断能力が著しく不十分である人を対象としています。この場合は、保佐人が選任されます。保佐人には特定の行為に関して代理権が与えられることもありますし、本人(保佐される人)は、法律が定める行為や特定の行為については、保佐人の同意を得なければ行うことができず、保佐人はその同意を得ずに本人が行った行為を取り消すことができます。このようにして本人が保護されるのです。
【補助】
精神上の障害などにより、判断能力が不十分である人を対象としています。この場合は、補助人が選任されます。補助人は、援助が必要であるとして予め定められた一定の行為について代理権を与えられたり、本人(補助される人)が特定の行為を行うことについての同意権が与えられます。そして、補助人はその同意を得ずに本人が行った行為を取り消すこともできます。やはりこのようにして本人が保護されるのです。
この任意後見制度は、任意後見契約に関する法律(平成12年)で創設された制度で、本人に契約の締結に必要な判断能力がある間に、将来自分の判断能力が不十分になった時に備えて、あらかじめ、①後見事務の内容、②任意後見人を、自ら任意後見契約(公正証書)によって決めておく制度です。 これにより、仮に将来、本人の判断能力が不十分になってしまった場合でも、任意後見人は、予め定められた権限(代理権など)で本人のために援助していくのです。
弁護士がお手伝いできること
☆このような場合にご相談ください。
→「相続が開始したのですが、相続人の中に判断能力が不十分な人がいて、遺産分割協議が前に進まないんです。」
→「認知症が少し進みかけているおじいさんが、先日、訪問販売で多額の契約をさせられたんです。何とかその契約はクーリングオフできたのですが、今後またこのようなことが起こって財産を失ってしまわないか心配なんです。」
→「自分はまだ判断力はあると思いますが、将来に備えて、自分の身の回りのことや財産の管理を信頼できる人に予め任せておきたいのですが。」
☆法定後見制度については、家庭裁判所に審判の申立をする必要があり、弁護士は、その前提として、依頼者の立場にたって、本人の判断能力の程度に応じた方針決定、審判申立準備、その他の法的アドバイスをすることができます。
また、任意後見制度についても、法律で決まった方式にしたがって契約書(公正証書)などを作成していく必要があり、弁護士は、その前提として、依頼者の立場にたって、本人の必要とする援助の具体的内容等に応じた方針決定、契約書(公正証書)の作成準備、その他の法的アドバイスをすることができます。
☆この成年後見制度についても、いろいろとお知りになりたいことがあるでしょう。この点については、「FAQ(よくあるご質問)」のページにアップしておきましたから、これを参照していただきたいと思いますし、どんなことでもお気軽に弁護士にご相談ください。